平成28年度第3回ろう者学ランチトーク:ハニタ・マイポンさん&ギャン・バハドゥル・ビタコチさん

2016/05/17掲載

 5月12日(木)に第3回ろう者学ランチトークが行われました。

 今回はダスキン愛の輪基金主催のアジア太平洋障害者リーダー育成事業の第17期生として日本で研修中のハニタ・マイポンさんとギャン・バハドゥル・ビタコチさんにお越し頂きました。ラオス、ネパールのろう者社会についてお話し頂きました。

 おかげさまで、教員、学生、地域にお住まいの方々合わせて、51名の参加がありました。

 まず、ハニタ・マイポンさん(通称・タタさん)はラオス出身です。ろう協会の組織強化、ろう者の差別解消、手話通訳の養成、手話指導などを学ぶために来日しました。これまで滋賀県聴覚障害者協会や国立障害者リハビリテーションセンターなどで研修を受けたそうです。

 ラオスの国名の手話は、女性が結婚する時もしくは伝統的な儀式で踊る時に頭の上の方にお団子を作る伝統的な女性の髪型があり、それに由来しているそうです。ラオスはインドシナ半島の中央にあり、四方を国で囲まれていて海がないため、川魚、牛肉、豚肉、鶏肉などを食べて暮らしているとのことです。

 タタさんはビエンテャンろう学校の卒業生です。ビエンテャンろう学校は1992年に建てられたばかりです。ラオスには首都にあるビエンテャンろう学校と北のルアンババーンろう学校の2つしかろう学校がないそうです。2003年にろう学校の卒業生がろう団体を結成し、スウェーデンからの支援で活動を始めます。障害者権利条約の批准をきっかけに行政に働きかけるようになりました。そして2011年からラオス手話の研究が始まり、2013年からラオス手話の指導が始まったといいます。なんとラオスでは手話通訳者は2人しかいないそうです。しかもろう協会に常駐している手話通訳は1人だけで、ろう協会関連の通訳を1人だけで全て担っているそうです。

 ラオスろう協会の活動として、手話指導・手話通訳養成、ろう児を持つ家族への手話指導、手話ビデオの制作などを行っています。手話の講習会を開き、少しずつ手話を学ぶ人々が増えているとのことです。手話通訳の養成はビデオなどの教材がないため、外のテラスのようなところで新聞などを読んで通訳の練習をしているそうです。また、一般人が手軽に学べるようにとラオス手話の学習アプリとソフトも制作しました。

 最後にラオスの文化として、挨拶は手を合わせてお辞儀をしますが、女性は同時に足を曲げて挨拶するという習慣があると教えてくださいました。

 ギャン・バハドゥル・ビタコチさんはネパール出身です。ろう者への差別解消、ろう児に合った教育方法、ろう高齢者の居場所作り、ろう者に対する社会教育などを学ぶために来日しました。日本に来てから、通訳養成システムも学びたいと研修目的に入れたそうです。

 ギャンさんが通ったネパール第二の都市、ポカラ市にあるろう学校は、50人くらいの生徒が在籍していて、全てイギリスからの支援で賄っているそうです。貧しくて学校に通えない子どももまだ多いので、その学費も含めてサポートされているとのことです。また、全日本ろうあ連盟から寄贈されたスクールバスのおかげで、山奥に住むろう児たちの交通手段がなく、学校に通えなかった問題も解消されたといいます。

 ネパール語は35文字あります。日本に来て、ひらがな、カタカナ、漢字と3つもあってとても驚いたといいます。「皆さんならすぐネパール語を書けるようになるでしょう」とジョークをとばしました。

 ガンダキ地域のろう協会は自力で建てた建物を活用しており、ろう者が気軽に集まって話せる部屋や通訳養成のための部屋、また、来訪者がパソコンを使える部屋などを用意しています。

 ネパールといえば、山が有名ですね。エベレストだけではなく、他にも美しい山がたくさんあり、写真で紹介してくださいました。ギャンさんもまだ登ったことがないそうです。高度が高すぎて、登るためのトレーニングが必要で気軽には登れないとのことです。

 去年起きた8,000人もの死者を出したネパール地震。15人のろう者が負傷し、150人のろう者が家を失いました。ろう学校も6カ所被害があったそうです。当時、行政からろう者に対する支援や配慮などが全くなく、ろう協会も何もできませんでしたが、全日本ろうあ連盟からの助言をきっかけに、ろう協会の意識も変わってきたといいます。

 このようにラオス、ネパールの文化、ろう者の状況についてお話し頂きました。お二人は6月に成果発表会を終えて、母国に帰国されるそうです。研修の残りの日々も充実したものでありますように。母国に帰国された後、ますますご活躍されることをお祈りしています!!

 参加してくださった皆さま、ありがとうございました!!


 

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