平成30年度第3回ろう者学ランチトーク:ルイス・アップルゲートさん(アメリカ)

2018/06/13掲載

 6月5日(火)に第3回目のろう者学ランチトークが行われました。今回は、アメリカのロチェスター工科大学(以下、RIT)に在学中のルイス・アップルゲート(Louise Applegate)さんにお越しいただき、ご自身の生い立ちやこれまでの経験、コミュニケーションなどについてお話しいただきました。

 おかげさまで、教員と学生、地域の方々を合わせて、60名の参加がありました。

 ルイスさんは、中国の浙江省杭州市で生まれました。生後間もなくして孤児院に預けられて、3年が経過した頃にアメリカ人の白人に養子として引き取られ、4歳半の時にアメリカのボストンに移住します。小学校はボストンの郊外にあるろう学校に通い、筆談を通してコミュニケーションを取りながら、少しずつ手話を身につけていきます。学校は白人の方が多くて、さらに、手話でコミュニケーションをする人もいれば、難聴で口話法を使う人もいました。同時に、きこえる人のスイミングチームにも所属し、コミュニケーションをどのようにとるか工夫するなど努力をしてきました。中学2年生から一般の学校にも通い始め、高校まで、ろう学校と両方通います。そこで、彼女は、自分は耳が聴こえない上に、肌の色の違い、アジア系の見た目で、さらにコミュニケーション手段の違いという点で、自身のアイデンティティに長い間悩んでいました。インテグレーション校では、手話通訳をつけながら学習をし、放課後はろう学校のサークル活動に参加してきこえない仲間との交流を楽しんだのだそうです。そこで、状況に応じてコミュニケーション方法を変えるなどの切り替えが上手くできるようになり、さらに、インテグレーション校には白人だけでなく黒人や見た目も肌の色も異なる人が自分以外にもいたことで、自分のアイデンティティを肯定できるようになったとのことです。

 高校生の時に参加したデフユースキャンプについても話していただきました。そこでは様々な背景を持つろう者、難聴者が集まり、情報保障の課題について熱い議論を交わしました。ルイスさんにとっては、そこで初めて様々な聴覚障害者との出会いの場となり、大変刺激的な経験となったのだそうです。

 進学先として、ギャローデット大学、一般大学、RITの3校で考えていたとのことですが、RITに決めたのは、生まれも育ちも様々で、多様な背景のある人が通っていて、その個性を尊重しているRITに魅力を感じたのが理由だとのことです。看護学を専攻しています。元々は先生になることを目指していましたが、薬を変えないような貧しい人々の支援などをしたいという願望が出てきて、看護師を目指すことにしました。

 また、大学では、初めてのコーダとの出会い、同じアジア系の仲間との出会いもありました。現在では、様々な文化の受け入れについて戸惑う友人に、ルイスさんの方からこれまでの白人の中で教育を受けて来た経験を伝え、多様性の認めることの良さを教えることもあるのだそうです。

 今回、ルイスさんは日本に3週間ほど滞在予定です。これも、昨年に本学学生が交流でRITに来たことをきっかけに日本に興味を持ったことからだそうです。ルイスさんのアイデンティティの葛藤から、積極的に様々な活動に参加して自分の道を切り開こうとする姿は、まさに学生にとっては素晴らしいロールモデルであるように思いました。3週間の間、学生の皆さんも積極的に交流をしてルイスさんから多くを学んでくださいね。

 参加してくださった皆さん、ありがとうございました!!

過去のニュース一覧へ

トップページへ戻る