2019年度第3回ろう者学ランチトーク:川端伸哉さん

2019/06/12掲載

 6月10日(月)にランチトーク が行われました。

 今回は群馬大学産学官連携研究員&非常勤講師の川端伸哉(かえで)さんにお越しいただき、「ゲイ・アイデンティティとしての自分」というテーマで、ろう者とLGBTQ(セクシャルマイノリティ)について、現状、研究、ご自身の実体験の面からお話いただきました。

 おかげさまで教職員と学生、地域の方々を合わせて23名の参加がありました。

 つくば国際大学に通っていた川端さん。筑波技術大学に来るのは18年ぶりだそうです。そんな話から今回のランチトークが始まりました。

 まず、川端さんの自己紹介から。つくば国際大学を卒業したのち、日本社会事業大学の大学院を日本手話で修士論文を提出して修了したそうです。日本手話による論文、とても興味深いですね。

 続いて、LGBTQについて、関連する手話単語と共に説明をしてくださいました。日本ではLGBTQ…と、分類はそこまで多くないそうですが、海外、例えばアメリカではなんと58もの分類があるそうです。アメリカ人ははっきりと自分を決める、自分と人の違いを決める、そしてそれが当たり前の文化だから58個もあっても混乱しないのだろう、とおっしゃっていました。たしかに、日本人にははっきりこれ!と決めるよりも、大枠を決めて、あとは少し曖昧にしておく方があっているのかもしれませんね。

 続いて、ゲイ・アイデンティティについて、研究やご自身の経験に基づきお話していただきました。

 川端さんは口話教育を受けましたが、お母さんのご実家の隣のろうの夫婦から手話を学んだそうです。そして11歳の頃に本でゲイの世界を知りました。しかし、「ろう」のゲイについての話ではなかった上、周りにもロールモデルがいなかったそう。20歳になってろう者のコミュニティだけでなく、ろうゲイコミュニティに参加しするようになって、「ろう」+「ゲイ」のロールモデルができたそうです。

 一言に「ろう者」といってもコミュニケーション方法や、言語を習得する時期が違いますし、一言に「ゲイ」といっても、気づく時期、受容する時期が違いいますよね。それによってアイデンティティもそれを形成する時期も様々だということを改めて感じました。また、コミュニティの数やろう文化などによる、ろうのLGBTQという2つのマイノリティに属する方々ならではの悩みがあることもわかりました。

 また、現在はLGBTQの権利を保障する法律はないそうですが、同性婚をできるよう、民法の一部を改正する法案を6月3日に野党3党が衆議院に提出したそうです。少しずつ取り巻く環境も変わりつつあるのですね。

 今社会ではLGBTQやろう者に対する認識は広まりつつありますが、同時に間違った理解の広まりがあったり、偏見も残ったりしていると思います。政治的な面だけでなく、個人一人ひとりが正しい理解をし、「その人」として関わっていける世の中になってほしいと改めて思いました。

 川端さん、貴重なお話をありがとうございました!^ ^

 そしてお越し下さった皆様、ありがとうございました!

 次回のランチトーク は6月20日(木)、ベルギーのステンドグラスアーティストである、サンダー・ブロンデールさんにお越しいただく予定です。

 ぜひお越しください!

ランチトークの様子

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