2019年度第5回ろう者学ランチトーク:岡田聡さん

2019/07/16掲載

 7月11日(木)にランチトーク が行われました。

 今回は日立GEニュークリアエナジー 福島・廃止措置エンジニアリングセンター主任技師である一方、全国手話通訳問題研究会茨城支部長としてもご活躍されている、岡田聡様にお越しいただき、「企業の技術者と手話活動者の二足の草鞋」というテーマでロボットと手話にまつわる活動について「やわらかく」お話いただきました。

 生まれも育ちも茨城県だという岡田さん。筑波技術短期大学の時には何度かキャンパスに来ていたそうです。

 まずはロボットに関して、お話いただきました。岡田さんはフィールドロボットの研究を続けて博士号を取ったそうです。岡田さんは福島第一原発事故の前から原子炉における作業ロボットを開発していたそうです。しかし、事故が起こり、そこからは内部調査用ロボット「PMORPH」の開発をしていらっしゃいます。このロボットは原子炉の狭い道にも入れるよう、コの字型から直線型に形を変形できるロボットだそうです。岡田さんはこのロボットの開発で様々賞を受賞されたそうです。他にもさまざまなロボットの説明をしてくださいました。さらに実際にPMORPHで撮った写真を見せてくださいました。そこには燃料デブリが原子炉内にたくさんこびりついている様子が映し出されていました。その様子はまさに過酷の権化のようでした。人間たちの生活のために、人間は入ることのできないこの過酷な環境に耐えて調査をするPMORPHとそれを開発する岡田さんをはじめとする方々には本当に頭が上がりません。

 次に、手話との関わりについてお話いただきました。岡田さんは夫婦で手話通訳士をお持ちだそうです。岡田さんは手話を始めて25年だそうです。岡田さんは休日に手話を使って聞こえない人と共に活動することで、平日の忙しさの中、精神を保っているそうです。

 その後、質疑応答の時間があり、たくさんの質問がありました。以下、質疑応答をまとめます。

Q 手話を始めたきっかけはなんですか?
A 入社して1年くらいして、暇だったので、何か新しく始めたいと思ったからです。手話も面白くなかったらすぐにやめようと思っていましたが、のめり込んでいきました。

Q どうしてのめり込んでいったのですか?
A ろう者の手話表現に魅了されたからです。また、音声言語と異なる通じ合いに魅了されたからです。

Q 通じなかった時はどうするのですか?
A 繰り返し聞いて理解します。そこも含めて面白いです。

Q ロボットは原子炉での作業を終えたらどうするのですか?
A 帰って来ます。しかし、途中で動かなくなったりしたロボットはそのままにしてあります。また、放射線をたくさん浴びて基準値を超えたロボットもそのままにしておきます。

Q 手話はどうやって勉強しましたか?
A ろう者や他の聞こえる仲間に教えてもらいました。自分で「勉強する」ということには違和感があったので。他の人に教えてもらう、という方法を取っていました。

Q 夫婦で手話通訳しですよね、普段のコミュニケーションも手話を用いているのでしょうか。
A 手話は用いていません。(笑)音声言語でコミュニケーションを取っています。ただ、ガラス越しなどでは手話で会話をすることもあります。

Q 職場にろう者はいますか?
A 私と同じチームにはいませんが、同じ会社で働くろう者は20人ほどいます。そのうち3人ほどが筑波技術大学出身です。

 おかげさまで教職員と学生、地域の方々を合わせて27名の参加がありました。

 岡田さん、貴重なお話をありがとうございました!(^ ^)
そしてお越し下さった皆様、ありがとうございました!

 次回のランチトーク は7月18日(木)、筑波大学の大学院生である、石田祐貴さんにお越しいただく予定です。ぜひお越しください!

ランチトークの様子

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