お知らせ

ランチトーク2015.05.01

平成27年度第2回ろう者学ランチトーク:平井望さん

 4月28日(火)に第2回ろう者学ランチトークを行いました。

 今回は本学卒業生の平井望さんにお越し頂きました。講演テーマは「デフリンピックを通して日本のデフスポーツを考える」です。平井さんは群馬県立聾学校出身で、本学のデザイン学科(筑波技術短期大学第13期生)を卒業した後、YKKAP株式会社デザインセンターに入社しました。2009年台北デフリンピックのビーチバレーボール競技に日本代表として出場した経験をお持ちで、現在はスタッフとしてビーチバレーボール代表チームや大会等の運営に携わっておられます。今回はビーチバレーボールの活動やデフリンピックの経験などについて、お話し頂きました。

 おかげさまで教職員・学生合わせて62名の参加がありました。

 ビーチバレーボールというと、暑い夏に太陽の下で行われるスポーツというイメージが強いと思いますが、実際は夏だけではなく、1年中楽しめるスポーツで、屋根のついたビーチコートや照明を使用したナイターゲームもあるそうです。試合では水着を着用しますが、練習では普通の練習着を着用します。初めは恥ずかしくて水着に抵抗あったそうですが、次第に慣れていったと話します。

 元々はバレーボールをやっており、聾学校時代から本学までバレーボール部に所属し、卒業後も社会人のバレーボールチームで競技を続けていました。2009年の台北デフリンピックで初めてビーチバレーボール競技が採用されることが決まり、その競技でデフリンピックに挑戦してみてはどうかと勧められたことがきっかけでビーチバレーボールに転向しました。それからは毎週、海に通って練習に励んだといいます。

 1年半の練習やトレーニングを経て、2009年台北デフリンピック出場を果たしました。初めて採用された競技、そして初出場ということもあり、他国のチームの情報などが全くなく、何もかもが手探りという状態で試合に臨んだそうです。予選を3勝1敗で突破し、決勝トーナメントに進出しましたが、残念ながらベスト16敗退という結果に終わりました。

 台北デフリンピック後、スタッフが不足していたため、スタッフ兼代表として、代表チームを引率しました。2012年世界選手権(トルコ)出場を最後に、現役を退き、現在はスタッフとして、合宿や大会遠征などの強化事業や大会の運営等に携わっています。

 これらの経験を通して、日本のデフスポーツを取り巻く厳しい環境や様々な課題に直面し、痛感したといいます。まず、合宿や海外遠征による選手の経済的負担が大きい、そしてほとんどの選手が仕事と両立しながら競技を続けているため、練習時間を確保するのが難しい、練習できる環境が整っていないのが現状です。デフリンピックの知名度が低いため、企業やスポンサーによる支援が少ないという要因が背景にあります。

 デフスポーツや選手達を取り巻く環境を改善していきたいという思いから海外留学を決意し、ダスキン障害者リーダー育成海外研修に応募し、個人研修の第35期生に選出されました。この夏にロシアに留学する予定です。ロシアはデフリンピック等の国際大会では、夏季と冬季ともにメダル常連の強豪国と言われ、メダル獲得数は世界でトップです。また、選手達は政府のサポートを受けており、国際大会などで結果を残せば、報酬として住宅や自家用車をもらえる、スポーツ年金を受給できるなどの待遇が用意されています。地理的な条件により、競技ごとに欧州選手権が開催されることも多く、欧州とのスポーツ交流が盛んと言われています。

 サンクトペテルブルクという街に留学し、ロシアのデフスポーツ団体の体制、ナショナル(代表)チームの構成や強化事業の内容について学ぶ予定です。また、ローカルな大会から国際大会まで様々な大会に視察に行き、運営方法について学びたいと話してくださいました。また、ろう児たちにどのようなスポーツ教育が行われているのかも興味があるそうです。このように様々な情報を集めて持ち帰り、日本のデフスポーツの強化に貢献したいと熱く語ってくださいました。

 最後に「こんにちは」「ありがとう」「がんばれ」のロシア手話のミニレッスンが催されました。見たことのない手話が新鮮だったらしく、「えー、こうやるの?」と、会場は大盛り上がりでした。最後は「ありがとう」のロシア手話で締めました。

 バレーボールそしてビーチバレーボールへの転向を経て、長年、デフスポーツに携わった立場からロシア留学を決意したとのことですが、ロシアのデフスポーツ強豪国としての一面について知れて、勉強になりました。本学には部活に入って競技を続けている学生も多いですし、良い刺激になったのではないかと思います。平井さんの新しいキャリアのスタート、そしてこれからのますますのご活躍をお祈りしています。

 参加してくださった皆さま、ありがとうございました!!


 
なんとロシアで買ってきたというお菓子を持ってきてくださいました。ありがとうございました!!「アリョンカ」といってロシアでは有名なチョコレートだそうです。

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