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ランチトーク2015.05.20

平成27年度第4回ろう者学ランチトーク:ディナ・ラティフさん

 5月15日(金)に第4回ろう者学ランチトークが行われました。

 今回はディナ・ラティフさんにお越し頂きました。講演テーマは「モルティブでの経験と日本研修の今まで」です。ディナさんはモルティブ共和国出身で、現在はダスキン愛の輪基金主催のダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業の第16期生として来日し、日本で研修を受けています。今回は、モルティブでの経験や日本での研修内容についてお話し頂きました。

 おかげさまで、教職員・学生合わせて43名の参加がありました。

 モルティブ共和国はインド洋にある島国で有人島、リゾート用の島、無人島など多数の島が連なっており、島の数は全部で1192になるそうです。宗教はイスラム教で、公用語はアラビア語、ディビビ語、英語です。アラビア語、ディビビ語は英語と異なり、右から左に書きます。

 ディナさんは環礁ガーフダールのフェアズマソダという島で生まれ育ちました。その島は徒歩で30分程で全周できるくらいの小さな島で、そこでは身ぶりやホームサインで周囲とコミュニケーションを図っていたといいます。

 首都マーレの聾学校(一般学校の中に併設されているろう児童対象の教室)に転校し、そこでたくさんのろう者に会う機会を得てモルティブ手話を習得します。そして、モルティブろう協会の活動にも関わっていきます。モルティブろう協会は2008年に設立されました。モルティブはろうの高齢者が少なく、若いろう者が多いそうです。

 モルティブは多数の島々が連なっているため、島内で隔離されて育った、または教育を満足に受けられないまま育ったろう者が多く、読み書きもできないため、ろう協会のワークショップで話し合うときは、紙に絵を描いて記録して共有することもあるそうです。

 また、モルティブ手話研究も進められています。モルティブに海外から先生が来て指導したり、外国の手話辞典を参考にしてそれを教えたりと、そのような背景も関連してインドやスリランカ、英国など、様々な国の手話が混じって使われているそうです。現在はモルティブ独自の手話を、という動きが生まれ、手話の研究が進められているとのことです。

 これらの経験を経て、女性支援、手話研究、手話通訳、教育などを学ぶために来日しました。全日本ろうあ連盟や日本ASL協会、長崎の五島列島、大阪、埼玉など様々な場所で研修を受けて、経験を積み重ねています。特に長崎ではろうのおじいさんに会う機会があり、昔の様々な話を聞けて大変勉強になったと話してくださいました。

 帰国後はモルティブ手話の研究、多様な場所での通訳、雇用均等、ろう女性のエンパワーメント、アジア太平洋の青年部との交流に向けて、様々な活動に携わっていきたいそうです。手話通訳者もモルティブ全体で3人しかいない状況のため、通訳者をさらに養成して増やしていきたいと話してくださいました。

 教育面においても、ろう教員がいない、また聴者教員が手話できたとしても対応手話になるため、ろう児たちが授業の内容を理解できない、学習意欲がなくなるという問題もあるそうです。モルティブ手話でどう教育できるのか、ろう児たちが理解できる授業内容とは何かをさらに考えていく必要があるといいます。

 ろう女性においても教育を十分に受けていないため、知識不足で妊娠したり、家庭で隔離されていたりなど、様々な問題が生じているといいます。ろう女性の教育普及や地位向上等を目指して活動していきたいと熱く語ってくださいました。

 モルティブというと、リゾート大国で華やかなイメージがありますが、そこに暮らすろう者の抱える様々な問題やろう教育の現状など聞けて大変勉強になったのではないかと思います。帰国された後、モルティブ手話の研究やろう女性のエンパワメン活動など、ますますご活躍されることをお祈りしています。

 参加してくださった皆さま、ありがとうございました!!

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