お知らせ

ろう者学トーク2023.01.10

2022年度ろう者学トーク限定配信(第8回)のご案内  相良啓子氏「ツアーコンダクターから手話言語学の研究者へ」

 ろう難聴者の様々な生き方を模索していく学問でもある『ろう者学』。
本学では、ろう者学教育コンテンツの開発及びろう者学を学ぶカリキュラムの作成や提供に取組み、2013年度から取組みの一環として「ろう者学ランチトーク」を開催してきました。
 2019年度までは本学天久保キャンパスを会場として対面で開催しておりましたが、2020年度からは新型コロナウイルス感染症感染拡大防止に伴い、「ろう者学ランチトーク」の開催形態を変更し、「ろう者学トーク」として撮影・編集した映像コンテンツをご提供しております。
 「ろう者学ランチトーク」と同様に、本学や他大学等を卒業した後にキャリアを積んでいるきこえない方々を講師として、これまでのご経験や現在の活動を通して、ろう難聴者のキャリア形成に必要と考える知識についてご講演いただいております。
 本コンテンツはお申し込みいただきました皆様への限定公開となっておりますが、全国の高等教育機関等で学ぶきこえない・きこえにくい学生、きこえる学生、支援などに関わる学生、教職員の皆さまをはじめ、ろう者学やろう難聴者に関心をお持ちの方々にも視聴いただけます。視聴のお申し込み方法につきましては、下記をご参照ください。

 2022年度第8回ろう者学トークの講師は、本学の前身である筑波技術短期大学の卒業生であり、JTB勤務、イギリス留学を経て、現在は国立民族学博物館の研究員として手話言語学の研究をされている相良啓子氏です。「ツアーコンダクターから手話言語学の研究者へ」というテーマでご講演いただきました。


 最初に講師 相良啓子氏のプロフィールをご紹介いたします。


相良啓子氏

相良啓子氏

山形県出身。19歳で中途失聴。
筑波技術短期大学(現:筑波技術大学) 電子情報学科情報工学専攻 第一期卒業生。
卒業後、筑波大学で科目等履修生を経て、筑波大学大学院教育研究科障害児教育専攻にて修士号を取得。その後、株式会社JTBに就職し、ツアーコンダクターの資格を取得し、バリアフリーツアー推進担当となる。2010年には、イギリスにあるセントラルランカシャー大学へ転職・留学し、手話言語学研究の道に進む。2021年に博士号(学術)を取得し、現在は、人間文化研究機構創発センター研究員(拠点:国立民族学博物館)として、手話言語学研究を行っている。

 19歳の時に、幼稚園教諭を目指していた相良さんは突然、両耳を失聴します。その後、筑波技術短期大学に入学し、そこで初めてろう者の世界を知り、「ろう者とは?」、「きこえない自分とは?」と自身のアイデンティティを探るようになります。そして、1年間のアメリカ留学を経て、筑波大学大学院に進学し、障害児教育専攻で障害認識の研究をします。卒業後は、人と接することが好きということときこえなくなったことを活かそうと、JTBとのご縁もあり入社したと話します。そこでツアーコンダクター(添乗員)の資格を取り、筑波技術大学やろう団体を中心に多くの人の旅行をサポートするようになります。旅先での出会いや、印象に残った人のこと、旅行中のハプニングなど、今だから笑えるような出来事について楽しそうにお話くださいました。


 半年間の休職を申請し、フィンランドにある世界ろう連盟の事務局でボランティアとして経験を積みます。そして、11年勤めたJTBを退職し、イギリスで4年間、手話言語学の研究に臨みます。相良さんは、旅行業を辞めて手話言語学の研究の道に進むことになるなんて、自分でも当初はまったく想定していなかったといいます。そんな相良さんは、セントラルランカシャー大学の国際手話ろう者学研究所で国際手話を使った仕事に挑戦します。また、日本手話の数詞表現を研究し、MPhil(修士号)を取得します。


 帰国後は、大阪にある国立民族学博物館の研究員および特任助教として手話言語学の研究を続け、現在8年目になるそうです。これまでに、国際手話学会、世界ろう者会議などで研究発表を行い、世界各国の手話、約30言語のデータを収集、分析し、研究成果として出版するなど研究活動を着実に積み重ねていき、ついに2021年に博士号を取得します。国立民族学博物館に設置されていた手話言語学研究部門での研究を経て、現在は、人間文化研究機構創発センター研究員(国立民族学博物館 特任助教)として、「日本手話、台湾手話、韓国手話の語彙の変化」について研究し、「コミュニケーション共生科学の創成プロジェクト」にも携わられています。相良さんの貪欲に研究されるご姿勢に勇気をいただきました!
 ご講演くださった相良さん、本当にありがとうございました!


講師の相良氏は日本手話言語で講演いただいております。

動画には日本語字幕を付与していますので、ぜひご視聴ください。(22分19秒)


【お申し込み方法】
視聴をご希望される方は、ろう者学教育コンテンツ開発ウェブサイトの「お申込み&お問い合わせ」のページにて、下記破線内1~5についてご記載のうえお申し込みいただきますようお願いいたします。

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  1. 教育機関等の名称・部局:
  2. 氏名:
  3. 視聴期間:〇月✕日〜〇月✕日(2023年1月から2023年3月までの間、日曜日開始・土曜日終了の1週間を上限とする)
    ※視聴希望日の約1週間前までにお申し込みください。
  4. 利用目的:(例:授業、研修、視聴会など)
  5. 対象者数:〇名

※本コンテンツは学生、教職員、支援・教育関係者の皆様にご視聴いただけます。
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【問い合わせ先】
ろう者学教育コンテンツ開発ウェブサイトの「お申込み&お問い合わせ」のページにてお問合せください。

※担当者の勤務体制により、映像コンテンツ視聴のお申し込みやお問い合わせの対応にお時間をいただく場合がございます。
あらかじめご了承ください。


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