本学開講科目「デフコミュニティと社会参加」
(5) メディア
(5) メディア
1 対象
筑波技術大学に在籍する聴覚障害のある学生20名
2 指導の形態
通常教室 90分授業
3 指導の目的
1)盲人向けメディアの「点字毎日」とろう者向けメディアの「日本聴力障害新聞」の発行意義を学び、比較して、メディア(新聞)が障害者のコミュニティに果たす役割を理解する。
2)メディア技術革新の成果をいかにしてろう者コミュニティやろう者の社会参加へ有効活用していけるかを意識する。
3)「日本聴力障害新聞」がろう者コミュニティの入り口の一つであることを認識する。
4 指導にあたって
・ワークシートと日本聴力障害新聞(教材)を配布、終了時にスライド資料を配布する。
・ワークシートを使ってグループ活動ができるようレイアウトを考える。必要に応じてブギーボードを利用させる。
・点字毎日の点字版と活字版を準備する。
・日本聴力障害新聞は他の授業でも用いることができるので、教材として購入させるのが良い。見本誌としての活用も考えられるので、全日本ろうあ連盟京都事務所と相談するのが良い。活用例:漫画関連、文化活動関連、スポーツ関連、手話関連など。
5 本時の展開
過 程 |
学習活動 | 指導・支援内容 (留意事項及び配慮事項) |
評価の観点 |
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導 入 |
前回授業(コミュニティ)のポイントをS1で復習し、ろう者の文化の発生源を確認する。 本授業のポイントをS2で示す。コミュニティ=ムラ、メディア=情報媒体。 |
コミュニケーション方法を調整できているか【観察・発問】 | |
通信・放送の分類と歴史を解説する(15分) | S3で江戸時代のメディアを2例取り上げ、瓦版が単方向性、飛脚が双方向性であることを確認し、前者が新聞やラジオ放送など放送メディアに発展し、後者が郵便や電話など通信メディアに発展したという視点を共有する。 S4で、明治時代以降の3つのメディアを紹介し、大衆的には大正時代=電話、昭和時代前半=ラジオ、昭和時代後半=テレビと普及したことを理解させる。電話は電気通信事業法、ラジオ・テレビ放送は放送法が管轄。ただし、現在は通信と放送の境界が曖昧になってきており、将来的には両者の融合と連携が進むことを認識させる。 |
教員の説明を理解できているかどうか【発問】 | |
展 開 |
点字毎日について学び、社会的な発行意義を考える(25分) | S5で、点字毎日の発行された時代背景を説明する。 そして、実物(点字版)を示して、盲人が点字のおかげで新聞にアクセスできるようになった点と、点字の普及、社会啓発の役割も果たしていたことを理解させる。 点字毎日のコンテンツを知るために、活字版の切り抜きをS6,7で示し、視覚障害者が社会で困っている現実(駅ホームの安全柵)を、新聞を通して、同じ障害者コミュニティで共有し、社会に働きかけるという「コミュニティの結束」と「視覚障害者問題の社会啓発」の要素もあることを理解させる。 |
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以上をまとめて社会的な発行意義とする。S8。ここで、学生に発問しつつ、ワークシートに書かせる。 | 学んだことをワークシートに書けているかどうか【観察・発問】 | ||
日本聴力障害新聞の概要について学ぶ(10分) | S9で、大手新聞社がろう者向けの新聞発行に関心を示さなかった理由を学生に考えさせ、日本聴力障害新聞の概要をS10で説明する。 | ||
日本聴力障害新聞を読み、社会的な発行意義を考える(30分) | 日本聴力障害新聞を配布して、10分間読ませた後、次の二点について学生に発問する。
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新聞に目を通した上で、自分の意見をきちんと発言できているか【分析・発言】 | |
S11で日本聴力障害新聞の社会的な発行意義をまとめる。学生にワークシートを書かせる。 | 学んだことをワークシートに書けているかどうか【観察・発問】 | ||
ま と め |
本時学んだ内容を復習し、将来を意識する(10分) | 教員が発問する形で、学生に本授業で学んだことを確認できるようにする。 発問例:
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教員の説明を理解できているかどうか【発問】 |
参考文献
・全日本ろうあ連盟京都事務所ウェブサイト:http://jdn.jfd.or.jp/
・日本聴力障害新聞編集部作・服部亜紀子画「紙の機関車」ブックレット版
さらに深く学ぶために
・日本聴力障害新聞縮刷版
・点字毎日に関するインターネット上の資料
【資料のダウンロード】
- 本学習指導略案(PDF)
- 資料①ワークシート(PDF)
- 資料②課題解答例(PDF - ダウンロードにはパスワードが必要になります)
- 資料③パワーポイント(パワーポイントPPT)
- 資料④配布用(PDF)