本学開講科目「デフコミュニティと社会参加」

(8) 遺伝子

(8) 遺伝子

1 対象

筑波技術大学に在籍する聴覚障害のある学生

2 指導の形態

通常教室 90分授業

3 指導の目的

1)聴覚障害と「遺伝子」との関わりについて知識を深める。

2)マーサズ・ヴィンヤード島にみられた、独特なデフコミュニティの存在を知る。

3)遺伝性聴覚障害の基礎知識を身につける。

4)デフコミュニティに見る「遺伝子」との関わりにおける学習を通して、聴覚障害のある人をとりまく社会的状況を理解する。

4 指導にあたって

・ワークシートを配布、終了時にスライド資料を配布する。

・ワークシートを使ってグループ活動ができるようレイアウトを考える。

・インターネットにある動画を用いる。

・参加する聴覚障害学生の言語・コミュニケーション状況に留意して授業を進める。

5 本時の展開


学習活動 指導・支援内容
(留意事項及び配慮事項)
評価の観点
 
 
 

 
 
「遺伝子」および聴覚障害との関わりについて興味を持たせる(5分)
本授業のポイントを説明する。
 
「遺伝子」と聞いてイメージするもの、また知っている場合はどんなものがあるか、発問する。
発問例:
  • 人間の体にある「遺伝子」とは?
  • 男性女性で「遺伝子」の仕組みは同じか違うか?
コミュニケーション方法を調整できているか【観察・発問】
 
 
 

マーサズ・ヴィンヤード島について知識を深める(1)(10分) マーサズ・ヴィンヤード島は、みんなが手話で話した島としても知られ、デフコミュニティが存在していたことでも知られていることを説明する。次に概要をはじめ、聴覚障害者の比率が高い時期があったこと、遺伝性の聴覚障害が原因であったことについて説明する。S2-S3 教員の説明を理解できているかどうか【観察】
聴覚障害と「遺伝子」との関わりについて学ぶ(5分) 聴覚障害になる理由(原因)として、主に遺伝子、環境、そして原因不明の3つがあげられることを説明した上で、遺伝子の詳細について説明する。S4-S7
マーサズ・ヴィンヤード島について知識を深める(2)(10分) マーサズ・ヴィンヤード島に最初に住んでいた聴覚障害者、その聴覚障害者のルーツについて説明する。S8-S10
島に住んでいた聴覚障害者の当時の生活の様子について分析する(10分) 当時、島に住んでいた聴覚障害者の生活について、人口や結婚率、配偶者がろうである割合、結婚平均年齢、出生率など、米国本土と比較しながら説明する。S11
グループワーク(20分) 4〜5人1グループを作り、グループ毎に当時の島にいた聴覚障害者の生活の様子と現在との違いについてディスカッションをして整理する。その後、各グループから出してもらったものをホワイトボード上で整理する。S12 ワークシートに自分の言葉でかけているかどうか【観察・発問】
 
グループ活動に積極的に参加しようとしているか、他者の意見を最後まで聞こうとしているか、他者に自分の意見をきちんと伝えられているか【議論・発表】
マーサズ・ヴィンヤード島の聴覚障害者の消滅について理解する(5分) 米国本土にろう者のための学校が創設されたのをきっかけに、島在住の聴覚障害者が次第に減っていき、最終的にはいなくなっていったことを説明する。S13
アメリカ手話の起源について学ぶ(5分) 現在使われているアメリカ手話は、欧州、マーサズ・ヴィンヤード島、フランス手話など、様々な手話が融合してできたものであることを説明する。S14
マーサズ・ヴィンヤード島の状況と似たような場所が世界各地で見られていることを理解する(10分) 日本では、奄美大島をはじめ世界各国でマーサズ・ヴィンヤード島にみられたようなデフコミュニティができていたことを説明する。
次に、奄美大島にみられたデフコミュニティについて説明している動画「奄美大島のろう者コミュニティ」を視聴する。
動画視聴に集中できているかどうか【観察】
「遺伝子」と聴覚障害研究との関わりについて理解する(5分) マーサズ・ヴィンヤード島に見られたデフコミュニティの存在は、あとに「優生思想」の発展に繋がっていったことを説明する。S15


本授業で学んだことを復習する(5分) 教員は発問する形で、学生に本授業で学んだことを確認できるようにする。 学生が本授業のポイントを理解できているか【発問】

参考文献

・書籍:みんなが手話で話した島、ノーラ・エレン・グロース、築地書館

【資料のダウンロード・映像の視聴】