聾学校(聴覚特別支援学校)等対象

スポーツを通して合理的配慮を考える

自立活動「スポーツを通して合理的配慮を考える」学習指導略案

1 対象

聴覚障害学生(中学生〜高校生)

2 指導の形態

通常の教室(45分〜50分)
一斎授業

3 指導の目的

1)ろう者のみならずきこえる人と共にスポーツを楽しむ可能性を知る。

2)場面に応じて適切な合理的配慮を考える。

3)合理的配慮の提案の方法を考える。

4 指導にあたって

・スライドの資料を配布し、それに自身の考えを書き込むことでノートの代わりにする。

・教師は聴覚障害者のスポーツについて事前に調べておくこと。特に合理的配慮に何があるか知っておく とグループワークの際に指導がしやすいと思われる。

5 本時の展開



学習活動 指導・支援内容
(留意事項及び配慮事項)
評価の観点


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教師の説明を聞く。
「聴覚障害があると楽しめないスポーツはあるかな?」
「きこえる人と一緒にスポーツをするとき、聴覚障害があるとうまくいかないことは何が考えられるかな?」
ほとんどのスポーツは聴覚障害があっても楽しめること、例外は視覚障害者が音を頼りに行うスポーツ、サッカー・ラグビー・格技・野球など、装用機器の破損の恐れがあるスポーツなどであるということを説明する。
【ゴールボールについて】1チーム3名で行う対戦型のチームスポーツ。 攻撃側は、鈴の入ったボールを相手ゴールに向かって投球し、守備側は全身を使ってボールを防御する。攻守を交互に入れ替えて試合を行い、得点を競う。

生徒の経験や思い込みにより、自分にはこのスポーツはできないという意見が出た場合、それをもとに、なぜできないと思うのか、どうしたら解消できるかを聞き、のちのグループワークにつなげる。


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グループに分かれ、グループで相談して1つのスポーツを選ぶ。 「だるまさんがころんだ」などの伝承遊びでも体を使うものであれば良いとする。 提案相手と提案方法についても考えるように指導する。提案相手についてはあらかじめ用意したくじで決める。

場面に応じて適切な合理的配慮を考える。
グループで選んだスポーツについて、考えられる合理的配慮とその提案方法を話し合う。 スポーツを選ぶときや合理的配慮を話し合うときに、生徒から意見が出ない様子が見られた場合は教師からヒントを出す。
(例1)
スターターや笛などの音の合図
コミュニケーション
監督の立ち位置
(例2)
コートや体育館の壁に情報を提示するモニタを設置するなど、最新技術の使用



合理的配慮の提案の方法を考える。
グループで考えた合理的配慮を提案しあう。


他のグループから意見や質問をもらう。
現実的に実現できないようなアイデアが出た場合、否定はせず、大学の卒業研究などのきっかけになるかもしれないということを伝える。



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他のグループの提案で良いと思った理由を発表する。余裕があれば自分の提案の改善についても話す。 時間に余裕がある場合は実際のスポーツの場面で行われている合理的配慮について話す。 ろう者のみならずきこえる人と共にスポーツを楽しむ可能性を知る。

6 参考文献またはWebサイト

日本スポーツ協会「だるまさんが転んだ」
 https://www.japan-sports.or.jp/portals/0/acp_SP/shidousya_dharma.html
全日本ろうあ連盟スポーツ委員会「スポーツ競技における人工内耳の装用について」
 https://www.jfd.or.jp/sc/files/deaflympics/resources/aboutci.pdf
スポーツTOKYOインフォメーション「聴覚障害とスポーツ」
 https://www.sports-tokyo-info.metro.tokyo.lg.jp/sasaeru/shospomanual/disability_sports02.html
内閣府「合理的配慮を知っていますか?」
 https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/pdf/gouriteki_hairyo/print.pdf

作成:下森 めぐみ (2021年)
編集:ろう者学教育コンテンツ開発取組担当

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