聾学校(聴覚特別支援学校)等対象
情報保障サービスを探そう
自立活動「情報保障サービスを探そう」学習指導略案
1 対象
聴覚特別支援学校高等部及び一般校に通う聴覚障害生徒
※大学等に在籍する聴覚障害学生を対象としてもよい。
2 指導の形態
通常教室、一斉授業、タブレットを使用(1人1台)
3 指導の目的
1)IT機器や技術を活用して、様々な情報保障サービスを提供している企業等があることを知る。
2)インターネットを用いて、情報保障サービスを提供する企業等について調べることができる。
4 指導にあたって
・聴覚障害生徒・学生は、将来職場等で情報保障に関する問題に直面することが予想される。その際に情 報保障サービスを提供している企業等を知っていることは、問題解決に大いに寄与する。本指導案はそのためのきっかけ作りの役割を担っている。
・情報保障サービスは様々な私企業が提供している他、意思疎通支援として手話通訳者や要約筆記者を派 遣する公的なサービスも存在しており、どちらも聴覚障害児者にとって重要なサービスである。よって本指導案では企業等と表記しており、実際の指導においても公的なサービスの存在についても触れるようにする。
・「情報保障」という言葉は、企業等を検索する際に有用であるため、普段用いていない場合であっても 最初に簡単に説明を行い、本指導案では「情報保障」という言葉を使用していく。
・展開Ⅰで紹介する「ある企業」について、普段から連携している企業がある場合は、その企業の紹介を してもよい。可能であれば、実際に社員の方のお話をいただくように調整してもよい。
・本指導案では、生徒(学生)がタブレットを用いてワークシートに記入できることを前提とした内容と なっている。もし難しい場合は、ワークシートを紙媒体で配付し、発表の際は書画カメラを用いて共有するとよい。
・聴覚特別支援学校高等部においては自立活動の時間に、一般校に通う聴覚障害生徒或いは大学等に在籍する聴覚障害学生については、例えば夏季休暇や放課後などのタイミングを上手く活用して実施することを想定している。
5 本時の展開
過 程 | 学習活動 | 指導・支援内容 (留意事項及び配慮事項) | 評価の観点 |
---|---|---|---|
導 入 5 分 | 1.自分たちが普段どのような情報保障を利用しているか、確認する。 | 〇普段学校や生活の中で利用している情報保障について尋ねる。 〇具体的な方法が出てこない場合は、「これがあると助かるなぁと思うものは何かありますか」などと問いかける。 →・手話(通訳)、電話リレーサービス ・(テレビ等の)字幕 ・音声認識アプリ(UDtalk) ・文字情報を示す電光掲示板 ・パソコン文字通訳 | |
展 開 Ⅰ 15 分 | 2.「ある企業」が提供している情報保障サービスの内容や利用法、料金等を知る。 | 〇最初に「学校(大学)では先生(支援室等)が情報保障を提供してくれるが、卒業後はどうやって情報保障を提供してもらうとよいだろうか?」と問いかける。 →もし「会社に頼む」といった発言があれば、「会社は情報保障の専門家ではないから、提供したくても方法が分からないということがあるかもしれません。その時はどうすればよいかな。」と発問を重ねる。 →「情報保障の提供をサポートしてくれる人が必要」等 〇例としてISCEC JAPANの情報保障サービス事業を紹介する。 →もし「値段が高い」といった発言があれば、料金は個人ではなくて、所属する団体(会社等)が負担すべきということを伝える。 | 〇IT機器や技術を活用して、情報保障サービスを提供している企業があることを知る。 |
展 開 Ⅱ 20 分 | 3.インターネットを用いて 、情報保障サービスを提供している企業等を探し、情報をまとめる。 | 〇タブレットを1人1台配付し、インターネットを用いて、情報保障サービスを提供する企業について調べさせる。 〇その際にワークシートも配付し、企業等の名前、情報保障サービスの内容、利用法、料金、URLをまとめるようにさせる。 〇企業の被りを防ぐため、例えば導入での生徒(学生)の反応を参考にPCテイク担当、字幕担当などと、担当分けをしてもよい。(他には会社の所在地等で地方ごとに分ける方法もある) 〇この際、公的サービスについても誰かが調べるように適宜声をかけてもよい。 | 〇インターネットを用いて、情報保障サービスを提供する企業について調べている。 |
ま と め 10 分 | 4.3でまとめた情報を発表する。 | 〇作成したワークシートを全員に共有し、1分程度で調べた内容を発表させる。 〇全員の発表後、調べた感想や発表を聞いた感想を尋ねる。 →・いろいろな情報保障サービスがあった。 ・料金がめっちゃ高かった。 ・様々な企業が情報保障に取り組んでいることが分かった。 →会社等に情報保障を頼む際も、このように情報を調べ、整理して、説明することが必要であることを指摘する。 〇最後に、作成した全てのワークシートは全員に配付する。 |
6 参考文献またはWebサイト
アイセックジャパン.事業内容「「e-ミミ」とは」
http://iscecj.co.jp/parts/pages/e-mimi.html
厚生労働省.意思疎通支援
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sanka/shien.html
6 情報保障サービスを提供している企業等の例
【リアルタイムの文字通訳】
・パソコン文字通訳者会ubiquitous(ユビキタス)
https://ubiquitous-pc.jimdofree.com/
・横浜ラポール
http://www.yokohama-rf.jp/rapport/
・株式会社カプセルアシスト
https://capsl-assist.com/caption/
【字幕挿入サービス・テープ起こし】
・東京反訳
https://8089.co.jp/
・字幕テロップセンター
https://www.tokyo-dc.jp/jtc/index.html
【手話通訳】
・東京手話通訳等派遣センター
https://www.tokyo-shuwacenter.or.jp/
・ミライロ・コネクト
https://mirairo-connect.jp/#section02
・公益社団法人 大阪聴力障害者協会 大阪ろうあ会館
http://daicyokyo.jp/roua/guidance/communication/slihaken.html
【公的サービス】
・つくば市 意思疎通支援
作成:土田 (2021年)
編集:ろう者学教育コンテンツ開発取組担当
【資料のダウンロード】
- 本学習指導略案(PDF)
- 資料①パワーポイント「情報保障サービスを探そう」(PPTX)
聾学校(聴覚特別支援学校)等対象
- ろう者が写真を通して表現することについて
- ユニバーサルデザインを考えよう
- 乗富秀人氏が描くデフアートにみるろう者の手話文化
- デフパフォーマンス
- 自立活動「ユニバーサルデザインを考えよう」学習指導略案
- 自由に表現してみる
- みんなで楽しむためのユニバーサルデザインを考える
- 手話狂言を通して新たな芸術の形を知る
- 聞こえない自分だからこそできる表現とは
- 見やすい字幕を考えよう
- 島のろう者コミュニティについて学ぼう!(Ver.1)
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- 聴覚障害者の被災について考えよう
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- いざという時のネット110, 119番
- 女子と男子、その他?
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- 手話を使うコミュニティには誰がいる?
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