(9) 優生思想

1 対象

筑波技術大学に在籍する聴覚障害のある学生

2 指導の形態

通常教室 90分授業

3 指導の目的

1)同じ聴覚障害のある人が過去に置かれてきた境遇を学ぶことの大切さを学ぶ。

2)「優生思想」の基礎知識を身につけ、「優生思想」が発展していった1900年代以降、聴覚障害社会にもたらした影響について議論する。

3)デフコミュニティの歴史に見る優生思想との関わりにおける学習を通して、聴覚障害のある人をとりまく社会的状況を理解し、今後の方向性について塾考する。

4 指導にあたって

・ワークシートを配布、終了時にスライド資料を配布する。

・日本聴力障害新聞を教材として使える工夫をする。

・ワークシートを使ってグループ活動ができるようレイアウトを考える。

・インターネットにある動画を用いる。

・参加する聴覚障害学生の言語・コミュニケーション状況に留意して授業を進める。

5 本時の展開


学習活動 指導・支援内容
(留意事項及び配慮事項)
評価の観点
 
 
 

 
 
 
 
 
「優生思想」に関する知識について確認する(10分)
前回授業(遺伝子)のポイントを復習し、優生思想との関わりについて確認する。
 
本授業の流れを説明する。
 
「優生思想」についてイメージするものを問いかける。
発問例:
  • 「優生思想」と聞いて思いつくものは?
  • 現代社会において、優生思想が影響していると思われるものは何があるか?(例:強制不妊手術、障害者施設19人殺害事件等)
コミュニケーション方法を調整できているか【観察・発問】
 
 
 

「優生思想」について理解する(20分) 「優生思想」の目的および目的を達成するために様々な手段が実行されたことを説明する。次に、米国を筆頭に発展していき、あとにナチス政権による人種政策、そして日本にも影響を及ぼすなど、政策、歴史、一般社会に与えた影響について説明する。S2-S5 教員の説明を理解できているかどうか【観察】
「優生思想」と聴覚障害社会との関わりについて学ぶ(20分) 日本聴力障害新聞の「優生思想」に関連する記事の切り抜きを読む。
 
動画「ろう女性の結婚と出産」「ろう女性と断種手術」を視聴する。S6
新聞や動画視聴に集中できているかどうか【観察】
 
ワークシートに自分の言葉でかけているかどうか【観察・発問】
グループ活動を通して、「優生思想」と聴覚障害社会との関わりについて考える(25分) 4〜5人1グループを作り、グループ毎にディスカッションをして整理させる。その後、各グループから出してもらったものをホワイトボードに書かせ、発表させる。 グループ活動に積極的に参加しようとしているか、他者の意見を最後まで聞こうとしているか、他者に自分の意見をきちんと伝えられているか【議論・発表】
「優生思想」の考えを取り入れた政策の衰退とその背景について理解する(10分) 「優生思想」の発展がその後衰退に向かっていった経緯とその背景について説明する。米国における公民権運動、ギャローデット大学のデフプレジデントナウ(今こそ、ろう学長を)運動、国内の障害者団体などにおける活動などを紹介する。S7


本授業で学んだ内容を復習する(5分) 教員が発問する形で、学生に本授業で学んだことを確認できるようにする。 学生が本授業のポイントを理解できているか【発問】

参考文献

・書籍:ナチスドイツと聴覚障害者—断種と「安楽死」政策を検証する、中西喜久司、文理閣

・書籍:優生学と障害者, 中村満紀男編著、明石書店

【資料のダウンロード・映像の視聴】