パディ・ラッド博士特別講演会

2013/12/08掲載

 11月12日(火)にパディ・ラッド博士特別講演会が行われました。この度はD PROご協力のもと、パディ・ラッド博士が本学を訪問してくださることになりましたので特別講演会を企画しました。

 パディ・ラッド博士はイギリスのろう者で、ろう文化研究者です。長年、ブリストル大学ろう者学センターにおける講師及び修士課程コーディネーターを務められていました。(※現在、ろう者学センターは閉鎖されている)

 「Deafhood」は「Deafness」の対語としてパディ・ラッド博士が提起した「ろうであること」を意味する文化的な概念であり、医療的な視点とは一線を画するものです。

 おかげさまで教職員・学生あわせて20名の参加がありました。

 ろう者自身がろう者であることを否定する状況が生じるのは、例えば教師や親に聴者のようになりなさいと言われ、ろう文化と聴文化の間で葛藤を感じながら育ってきたからだとパディ・ラッド博士は説きます。『植民地主義』をキーワードとして、アメリカにおける黒人差別や先住民の例を交えながらろうコミュニティにおける植民地主義についてわかりやすく解説いただきました。

 最後に自分がどのように支配されてきたのか振り返り、他人を批判することなく、自分自身を冷静に分析してろう者である自分を受け入れ、再構築していくことがろう文化を守ることにつながると話してくださいました。

 参加してくださった皆さま、ありがとうございました。

※パディ・ラッド博士の著書「Understanding Deaf Culture: In Search of Deafhood」は、日本語版として「ろう文化の歴史と展望-ろうコミュニティの脱植民地化-(森壮也監訳)」という題名で明石書店より出ております。

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