ろう者学ランチトークは、2013年から本学天久保キャンパスを会場として開催してきましたが、2020年度より新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のため、リモート収録してネットで限定公開する方法に変更しております。2021年度もこの方法を継続しており、第4回ろう者学トークとなります。動画は全国の高等教育機関等で学ぶきこえない学生、きこえにくい学生、支援などに関わる学生、教職員の皆さまにも限定公開にて視聴いただける形としております。本記事の末尾に申込み方法を記載していますので、お気軽にお問い合わせください。
さて今回は、筑波技術大学の卒業生(第8期生)で、プロダンサーとしてご活躍されている鹿子澤拳氏を講師にお招きして、「他己理解〜ろう者としての葛藤〜」というテーマでご講演いただきました。
最初に講師 鹿子澤拳氏のプロフィールをご紹介いたします。
プロダンサーである鹿子澤さんは、補聴器をつければそれなりにきこえるものの、補聴器を外すと全くきこえないといいます。小学校まで一般校、中学からはろう学校に通い、筑波技術大学ではダンスサークルに入っていました。ダンスをやるのに補聴器が欠かせないという鹿子澤さんは、テレビの取材で「きこえないのにすごいですね」と言われ、きこえない自分のあり方に疑問を持ち始めます。ろう者としてダンスで生きていくと決めたはずなのに、「ろう者なのに補聴器を使うのか?」「ろう者とは何か?」など、ろう者としてのアイデンティティについて悩むようになります。そんな中で、「ヨコハマ・パラトリエンナーレ」をはじめ、国際的な舞台も含めさまざまな大きな舞台を経験していきます。プロデューサーの助言をもとに、舞台でありのままの自分を表現することができたことがきっかけで、ろう者としての葛藤に対する答えが見つかったわけではないものの、自分だけでなく他人の生き方も肯定的に考えるようになり、さまざまな視点で物事を見ることができるようになったと語ります。
「自分が何者なのかその答えは正直まだ分からないが、答えに正解はない」とおっしゃる鹿子澤さんは、プロダンサーとして自分をありのままに表現することに妥協することなく、「自分のあり方」を追求していかれることと思います。
鹿子澤さんは、東京2020パラリンピック開会式(2021年8月24日)のパフォーマンス「WE HAVE WINGS(我々には翼がある)」と閉会式(2021年9月5日)「Harmonious Cacophony(調和する不協和音)」に出演されました。開会式では「片翼の小さな飛行機」役の少女に語りかける「おしゃべりが大好きな飛行機」役、そして閉会式では『すべての違いが輝く街』のダンサーとして、パフォーマンスされました。
障害者スポーツの祭典と呼ばれるパラリンピックですが、聴覚障害者向け競技は含まれておらず、今回のパラリンピック大会でも聴覚障害のある選手が登場することはありませんでした*。今回の大会のビジョンでもある「多様性と調和」を謳うべく、他の障害者と交じって表現力豊かな手話とダンスを披露されました。それは、大変心に残る大変素敵なパフォーマンスでした!
*「デフリンピック」と呼ばれる聴覚障害者のための国際大会は別に開催されている。
ご講演くださった鹿子澤拳さん、本当にありがとうございました!
そして、東京2020パラリンピック開会式では、感動をありがとうございました!
視聴の申込方法
本動画の講師である鹿子澤氏は日本手話言語で講演しております。動画は25分54秒で、日本語字幕を付与しています。ぜひご視聴ください。視聴をご希望される方は下記をご確認の上、下記申込先までご連絡ください。
教育機関等の名称・部局:
視聴期間:〇月✕日〜〇月✕日(2021年9月から2022年2月までの間、
日曜日開始・土曜日終了の1週間を上限とする)
視聴希望日の1週間前までにお申し込みください。
事務局スタッフの勤務体制により、
日にちによりましてはすぐに対応できない場合がございます。
対象者:きこえない生徒・学生、教職員、支援学生、支援室関係者など
対象者数:
申込先:info●deafstudies.jp
(●に@を入れてご使用ください。)
皆さまのお申し込みお待ちしております。