ろう難聴者の様々な生き方や考え方を模索していく学問でもある『ろう者学』。本学では、2013年より天久保キャンパスを会場としてろう者学ランチトークを開催してきました。2020年度より新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のため、リモート収録してネットで限定公開する方法に変更しております。2022年度もこの方法を継続しており、今回は第2回ろう者学トークとなります。リモート収録した動画は全国の高等教育機関等で学ぶきこえない・きこえにくい学生、きこえる学生、支援などに関わる学生や教職員の皆さまをはじめ、ろう者学やろう難聴者の生き方や考え方等に関心をお持ちの方々にも限定公開にて視聴いただける形としております。本記事の末尾に申込み方法を記載していますので、お気軽にお問い合わせください。
今回は、薬剤師として勤務する傍ら、NPO法人インフォメーションギャップバスター(IGB)の理事として医療通訳に関する調査研究や推進活動をされている吉田将明氏を講師にお招きして、「薬剤師として医療通訳の推進活動における取り組みから」というテーマでご講演いただきました。
最初に講師 吉田将明氏のプロフィールをご紹介いたします。
吉田さんは、幼稚部はろう学校、それ以降はきこえる学生と一緒に学んでいきます。手話言語を身につけたのは大学院に入ってからだそうです。大学院では大学病院での研修と臨床研究に取り組み、卒業後は病院に勤め、現在は薬局に勤めておられます。薬剤師として臨床現場での経験を通して、きこえない患者の医療における情報保障に山積みの課題があることを知った吉田さんは、医療環境を変えたいという気持ちを強くしていきます。手話言語通訳者養成は、ほとんどが地域の講習会で行われていますが、医療に関する内容はほとんど含まれていません。また、医療の専門制度がなく、医療に関する研修の場もほとんどないため、通訳者はきこえない患者と医療従事者の間で苦心しながら医療通訳を行っています。エビデンスという医学的根拠をもとに治療方法を確立していくのと同じように、医療通訳の推進活動を行うためにはエビデンスが重要になります。しかし、そのエビデンスをふまえるどころか、通訳者の医療に関する知識は自己努力に委ねられる、通訳者の労働環境も十分ではないなどの多くの課題を痛感した吉田さんは、解決方法が思い浮かばず一度は断念します。その後に、NPO法人インフォメーションギャップバスターの理事長との出会いがきっかけで、医療通訳推進プロジェクトを立ち上げ、SNSなどの様々なICTを活用しつつ、シンポジウムの開催や調査研究事業に取り組むようになります。医療通訳は、手話言語だけでなく外国人の音声言語も含まれており、その啓発や講演をシンポジウムで行ってきたことが実り、厚生労働省が動き出すようになります。厚生労働省の助成を受けることによって、医療通訳の調査研究の幅を広げられるようになりました。
医療は生命に関わる重大なことだけに、医療通訳の人材確保や制度などの整備は急務であり、吉田さんのご尽力には頭が下がります。
ご講演くださった吉田さん、本当にありがとうございました!
視聴の申込方法
本動画の講師である吉田氏は日本手話言語で講演しております。動画は19分44秒で、日本語字幕を付与しています。ぜひご視聴ください。視聴をご希望される方は下記をご確認の上、下記申込先までご連絡ください。
高等教育機関等の名称・部局:
氏名:
視聴期間:〇月✕日~〇月✕日(2022年6月から2023年2月までの間、
日曜日開始・土曜日終了の1週間を上限とする)
視聴希望日の1週間前までにお申し込みください。
事務局スタッフの勤務体制により、
日にちによりましてはすぐに対応できない場合がございます。
対象者:学生、教職員、支援・教育関係者
対象者数:◯名
申込先:info●deafstudies.jp (●に@を入れてご使用ください。)
皆さまのお申し込みお待ちしております。