12月11日(水)に第9回ろう者学ランチトークが開催されました。
今回のテーマは「デフアート②」です。デフアートシリーズ2回目となる今回は、前回(第3回ランチトーク)に続いて本プロジェクトスタッフの管野が講師を務め、アメリカのデフアートの歴史について紹介しました。
おかげさまで教職員・学生・手話関係者等合わせて11名の参加がありました。
アメリカ初のろうの画家とされているWilliam Mercer氏(絵画:肖像画)を始め、19世紀から1980年代にかけて活躍したろうの画家や彫刻家などを紹介しました。特に19世紀においてろう教育がまだ普及されていなかった当時、独学で学んだり、肖像画などで生計をたてたりとたくましく生きてきたろうの画家の状況が窺えます。
1960年~70年代に入ると、市民運動やベトナム戦争反対運動などで人権に対する意識が高まりつつあった当時、ろう者を取り巻く環境にも言語学としての手話研究の始まり、アメリカろう者劇団の設立など変化が訪れ、デフコミュニティやろう者自身の手話やろう文化に対する意識も大きく変わっていきました。初めて『デフアート』と題された展覧会が開催されたのもその頃です。このように社会的背景の変化が、アメリカでのデフアートの発展に大きく影響を与えたとお話ししました。
今回は19世紀から1980年代にかけて活躍したろうの画家や彫刻家を紹介しましたが、次回(※来年4月以降開催予定)は1980年代以降~現在のろうのアーティストの作品を紹介する予定です。
参加してくださった皆さま、ありがとうございました!!
※終了後、学生からデフアートに関する資料について質問がありました。アメリカにはデフアートに関する文献が多くありますが、日本語に翻訳されたものはほとんど無い状況です。当プロジェクトで保管している資料をご紹介することもできますので、興味のある方はぜひご一報ください。