平成26年度第2回ろう者学ランチトークの開催報告:イー・チャン・ローさん

2014/05/13掲載

 5月13日(火)に第2回ろう者学ランチトークを開催しました。

 イー・チャン・ローさん(愛称・リサさん)にお越しいただき、『シンガポールのろう者事情』についてお話しいただきました。

 リサさんはシンガポール出身のろう者。シンガポールは東京23区ほどの広さしかない小さな国で多民族国家です。リサさん自身もシンガポールとマレーシアのハーフの父と中国とインドネシアのハーフの母の間に生まれたといいます。

 小学校は聾学校、中学校(シンガポールは中高一貫校5年制)は一般学校に通って聞こえる生徒とともに学びました、リサさんが通った中学校には手話通訳者4名が雇用されており、授業ごとに派遣されていたとのことです。成人した後に視野が狭くなって目が見えづらくなり、盲ろう者の福祉について学びたいとダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業の第15期生として来日され、現在は日本各地の盲ろう関係の施設などで研修を積まれています。

 シンガポールのろう者・難聴者はおよそ約5000人。大学に進学していないろう者は約60%、管理職に就いているろう者もまだ少ないそうです。歴史を見ると、昔はCSL(中国手話)が使われていたが、独立した後はASL(アメリカ手話)、現在はSEE(手指英語)が広く使われているとのことです。将来的にはSgSL(シンガポール手話)が形成されていくのではとお話しして下さいました。また、ろう関係の団体としてシンガポールろう・難聴連盟とシンガポールろう協会があり、ワークショップや青年キャンプ等を行っているなど、シンガポールのろう活動の状況についてもご紹介いただきました。

 最後にシンガポールに盲ろう者通訳者はいるが、経験も少なく、通訳のルールもまだ確立されていない状況であり、日本での研修で学んだことを生かして盲ろう者通訳者を養成するなど盲ろう者へのサポート体制を向上させたいとシンガポールに帰国した後の抱負を話して下さいました。

 おかげさまで教職員・学生あわせて、57名の参加がありました。学生たちからも積極的に質問がたくさん出て大盛況でした。学生たちにとっては同じアジアだけれど、多民族国家としてのシンガポールの話を聞くことができ、興味深い内容だったのではないかと思います。

 参加してくださった皆さま、ありがとうございました!!


 

 

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