平成26年度第10回ろう者学ランチトーク:村井晃子さん

2014/10/23掲載

 10月15日(水)に第10回ろう者学ランチトークを開催いたしました。

 アメリカから一時帰国中の村井晃子さんにお越し頂き、「ケースマネージャーの1日 ~ろう者学の視点から~」についてお話し頂きました。

 おかげさまで教職員・学生合わせて15名の参加がありました。

 村井さんはカリフォルニア州立大学ノースリッジ校デフ・スタディーズ学科へ留学、同校にてろう者学学士号、そして同校大学院にてソーシャルワーク修士号を取得されました。現在はペンシルバニア州にある「PAHrtners Deaf Service」にてケースマネージャーとしてろう・難聴者の支援活動にあたっておられます。「PAHrtners Deaf Service」はろう者・難聴者のための支援プログラムを提供しているサービス施設で、村井さんが属する部門のスタッフはほとんどろう者だそうです。今回はケースマネージャーの仕事内容についてお話頂きました。

 ケースマネージャーの仕事内容とは何でしょうか。聴覚障害のある利用者が通う病院に対してろう者・難聴者に対する情報保障の必要性について説明を行ったり、また、利用者にテレビ電話を使った手話通訳サービスの利用方法や、公共交通機関の利用方法などを指導したりします。資金管理についてアドバイスすることもあります。家庭のトラブルに緊急で呼び出され、利用者の自宅に出向いて対応することもあるそうです。

 医療、学校、雇用・就労、法廷等、様々な場所におけるサービスを受けるためには手話通訳が必要になります。しかし、利用者の中に、精神障害や知的障害を併せ持つろう者・難聴者やアメリカに移り住み、第一言語がアメリカ手話ではない利用者もいます。その場合、音声通訳者(英語ーアメリカ手話)だけではなく、ろう通訳士(Certified Deaf Interpreter)も一緒に派遣してもらい、利用者に合わせてわかりやすく的確に情報を伝えられるよう、対応しているとのことです。

 ケースマネジメントの流れとしては利用者とまず面談し、求めているニーズは何か、それを達成するには現時点で何か足りないのか、聞き取り調査を行い、目標に向かって一緒に計画を立て、利用者のニーズに合わせた支援を行います。そして定期的に面談を行い、着実に自分の計画を進められているかどうか確認を行います。決定権はあくまでも利用者にあり、「自分の目標」「自分の計画」と利用者自身が実感できるように支援していくことが大切だそうです。

 ケースマネージャーとは要するに、精神障害や知的障害のあるろう者たちや移民してきたろう者たちを含め、様々なろう者たちが自立した生活を営むのに必要なサービスを受けられるように支援やアドバイスを行う、中間的な調整役とも言えるでしょう。

 日本では聞き慣れない職名ですが、こういう仕事もあるのだと大変勉強になりました。アメリカで実際に働いておられる方の経験談を直に伺うことができ、興味を持ってもらえたのではないでしょうか。

 参加して下さった皆様、ありがとうございました!!

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