12月18日(木)に第14回ろう者学ランチトークを行いました。
今回は保健師の鈴木怜子さんにお越し頂きました。今回の講演テーマは「看護師と保健師 ~専門職と手話との出会い~」です。
おかげさまで教職員・学生合わせて12名の参加がありました。
鈴木さんは某大学附属病院で8年間看護師として働いた経験をお持ちで、現在は某市役所で保健師として勤めておられます。小中高は一般の学校に通い、元々は子どもに関わる仕事がしたいと保育士を夢見ていたものの、親の勧めもあり看護師と保健師になるために山梨医科大学医学部看護学科に進学しました。
就職活動で難聴の看護師を受け入れてくれそうな病院を探したところ、某大学附属病院にたどり着き、聴覚障害があることを伝えた上で面接に行ったところ、「難聴の看護師は初めてだけど、何かの縁だから頑張ってみて」と内定をもらえたそうです。そこでは採血室、皮膚科・形成外科外来勤務を経て精神科病棟で5年程働きました。看護師時代に近隣の大学の手話サークルに通って手話を覚えられたそうです。
看護師の仕事とは何でしょうか。基本的には医師の指示に従いますが、患者の様態に合わせて点滴が必要かどうか、薬の効果が出ているかどうか副作用がないかどうか確認したり、入院中、治療中、退院後の本人のニーズを聞き取ったりなど、不安や悩み事はないか、患者に寄り添っていく大切な役割を持っています。(※「看護婦・看護士」は古いことばで、今は「看護師」といいます)
保健師は、地域社会の現状をよく理解した上で、乳幼児から高齢者まで幅広い年齢の方の病気予防や介護予防のための活動をしたり、健康増進に向けた活動をしたりと地域の人々の健康を支える仕事といえます。鈴木さんは現在、主に市役所で母子保健に携わっておられるそうです。妊婦教室、乳幼児健診、離乳食教室、子育て相談などの保健サービスを提供したりしています。特に最近は核家族が増えており、子どもを産んだ母親で身近に相談できる人がいない場合必要に応じてサポートしたりするなど、保健師の存在が重要になってきていると話して下さいました。
看護師時代の仕事の工夫としては、難聴であることを周知する、電話ができないことを前もって伝えておく、マスクで口の動きが見えないときはマスクを外してもらえるようお願いする、ナースコールがきたときは直接その部屋に行く、血圧は手動のものだと音が聞こえないので自動の血圧計を購入してもらったなど配慮をお願いしたそうです。保健師になってからは、健診会場等がやがやうるさいところだと聞き取れないので、個室でできる仕事に変更をお願いしたそうです。大切なのは、自分の能力に合った支援を自分からお願いできることだと話して下さいました。
「聴覚障害を持つ医療従事者の会」という会についてもご紹介がありました。全国には聴覚障害を持つ医師や看護師および薬剤師など、医療従事者がたくさん働いておられます。(現在は100名近い会員がいるとのこと!!)
実際に看護師や保健師の仕事を経験されている方のお話を聞くことができ、また、様々な仕事上の工夫についてもお話し頂いたので、大変勉強になりました。
参加して下さった皆さま、ありがとうございました!!
※最後に鈴木さんからお知らせです。鈴木さんが所属していらっしゃる東日本聴覚障害公務員会の総会が、来年つくばで開催されるそうです。実際に働いておられる公務員と交流できる良い機会なので、興味のある方は以下のHPをご覧下さい。
http://www.choukoukai.net/east-block.html