平成27年度第5回ろう者学ランチトーク:平野侑加理さん

2015/06/24掲載

 6月10日(水)に第5回ろう者学ランチトークが行われました。

 今回は本学卒業生の平野侑加理さんにお越し頂きました。講演テーマは「夢への挑戦」です。平野さんは本学卒業(筑波技術大学第3期生)後、3年間社会人として働いた経験をお持ちで、この4月に本学大学院の産業技術学専攻総合デザインコースに入学されました。今回は、社会人として働いた経験についてお話し頂きました。

 おかげさまで、教職員・学生合わせて60名の参加がありました。

 元々は建築士を目指したいと専門学校に入学し、建築について学びましたが、情報保障がついていないこともあり、授業についていけず、1年間で退学して本学に入学しました。本学では機械設計を学び、機械設計者にも興味を持つようになります。

 卒業後、DMG森精機株式会社に入社し、システムエンジニアの仕事に携わりました。DMG森精機株式会社は工作機械メーカーの会社で、旋盤、複合加工機、マシニングセンタ等を製造しています。製品販売だけではなく、ソリューション、サービス&パーツ(部品交換)などのサービスも提供しています。元々は株式会社森精機製作所という会社でしたが、ドイツの会社と合併し、現在の名前になったそうです。映像も交えて、ご紹介頂きました。

 本来希望していた部署ではなく、機械設計とは別の部署に配置され、システムエンジニアとして働くことになります。システムエンジニアはシステムの設計・開発・テストを手がける仕事です。例えば、お客様から製品の発注を受けて、製品の仕様や部品等の情報を各部署で共有するシステムがあります。開発部門にシステムのトラブルや使いにくいなどの問い合わせがよく来ます。システムの不具合を改善したり、新しい機能を追加したりするためにシステム開発の関係者と打合わせを行い、バージョンアップされたシステムが正常に作動するかどうかテストしたりなど仕事内容は多岐にわたります。

 情報処理の技術を身につけ、システム上の問題を自分で解決できた時や、「便利になったよ。ありがとう。」と利用者にお礼を言われた時に、仕事のやりがいを感じたといいます。その反面、毎日新しい情報が入ってくるので自分の職場に関わっているものは対応できるようにたくさんの情報や知識を集めていくのが大変だった、システム開発の打合せや国内から海外まで幅広いユーザの問い合せを受けるなど様々な方とのコミュニケーションを取る機会があり大変だったことも多く、また、システムに詳しくないクライアントにどう分かりやすく説明するか考えなければならず、苦労したそうです。

 後輩へのアドバイスとして、文章力、行動力、知識力、ビジネスマナー、コミュニケーション力、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)を重視してほしいと挙げられていました。電話が出来ない代わりにメールで連絡を取り合うことが多く、文章力を磨く必要があると強調されていました。また、上司に言われてから行動するのではなく、周りを常に見てサポートできることがあるかどうか探して積極的に動く行動力も大切だといいます。

 大学院進学を考えたきっかけは、専門学校では建築、大学では機械設計・加工、職場では情報・図面管理と、様々な分野の設計を学んだことでした。これらの経験を通して、製品のものづくりに携わりたいとプロダクトデザイナーを目指す気持ちが芽生え、この度、大学院に入学し、本学に戻ってきました。

 一般的な設計においては、デザイナーと設計者が別々のため、打ち合わせに時間がかかるという難点があります。それを解決するために、デザイナーと設計者の設計システムを1つにしたプロダクトデザイナーの設計支援システムを開発したいと、今後の目標を語ってくださいました。

 「様々な経験を積んでいくことが大事。今後、何らかの形でつながっていく」とメッセージを投げかけてくださいました。卒業して社会人になっても、経験を積み重ねながら、自分の新たな目標を探し続ける姿勢が印象的でした。システムエンジニアの仕事についてお話し頂きましたが、技術や知識だけではなく、コミュニケーション力や人間力も求められるという話は大変参考になったのではないかと思います。

 参加してくださった皆さま、ありがとうございました!!

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