6月23日(火)に第7回ろう者学ランチトークが行われました。
今回は桑原絵美さんにお越し頂きました。講演テーマは「私の体験した韓国」です。韓国のナザレ大学に留学し、長年韓国で暮らした経験がおありで、日韓手話通訳者としても活躍されています。今回は韓国での経験についてお話し頂きました。
おかげさまで、教職員・学生合わせて36名の参加がありました。
桑原さんは新潟出身で新潟県立長岡聾学校を卒業後、大学在学中に韓国に興味を持ち、2002年に大邱(テグ)大学に短期留学しました。韓国に留学しようと思ったきっかけは大学時代に日本手話と韓国手話は同じと聞いていたが、いざ韓国人の同世代の友人と話してみると、通じず、ジェスチャーでコミュニケーションを取ったことだそうです。そこで韓国語と韓国手話を学びたいという気持ちが芽生え、当時、障害学生の受け入れに積極的だった大邱大学に語学留学します。
短期留学を経て、さらにナザレ大学大学院の国際手話通訳学科を受けてみたところ、合格したため、大学院に入学し、韓国で暮らし始めることになります。また、過去に催された本学とナザレ大学間の交流ワークショップでも日韓手話通訳を担当し、本学と関わるようになります。
韓国では、教員と学生の距離感が日本とは異なり、先生といえば気軽に相談することはできない、会ったら深くお辞儀しなければならない、「先生の日」と言って先生を敬う日もあるくらい、とにかく学生は先生を敬わなくてはいけないそうです。
イベントも積極的で、日本同様、バレンタインデー、ホワイトデーはありますが、贈り物をもらえなかった、恋人ができなかった人は4月14日の「ブラックデー」といって、真っ黒なソースがかかった麺を食べるという日もあるそうです。
韓国は徴兵制があり、成人男性は全員兵役に服することが義務づけられています。大学在学中に休学して兵役に服する学生も多いそうです。太っていた学生が引き締まった体つきで帰ってきて、誰かとわからないくらい変わって驚くことも何回かあったと話してくださいました。ちなみに障害を持つ男性は徴兵を免除されるそうです。また、整形が当たり前で抵抗がないらしく、就職活動の面接でも美人が優遇されるので整形をする女性も多いそうです。このようにナザレ大学院での留学生活を通して、日本とは異なった韓国の習慣や文化について楽しくお話し頂きました。
また、北朝鮮に旅行に行った経験についてもお話し頂きました。北朝鮮といえば、どんなイメージを持っているかと桑原さんが問いかけると、学生からは「拍手!!」「外国に対して厳しい」「入国できない」などのイメージが挙げられました。TVのニュースで見ると閉鎖的なイメージですが、入国し、観光も普通にできるし、写真も撮影できるし、北朝鮮の人々もスマートフォンを使っており、意外と普通だったといいます。朝鮮障害者保護連盟を通して、ろう者たちとの交流も楽しんだそうです。
最後に「こんにちは」「すみません」「ありがとう」などの韓国手話のミニレッスンが催されました。近い国ですが、色々と文化、慣習、ろう者の事情など異なり、大変興味深いランチトークでした。これを良い機会に、韓国という国に興味を持って頂けたかと思います。
参加してくださった皆さま、ありがとうございました!!