平成27年度第10回ろう者学ランチトーク:小國雅治さん&町田陽伽さん&日影舘美樹さん

2015/08/05掲載


全日本ろうあ連盟創立70周年記念碑除幕式にて撮影
(下左から)日影舘美樹さん、町田陽伽さん、小國雅治さん

 7月15日(水)に第10回ろう者学ランチトークが行われました。

 今回は本学の本学デザイン学科の環境デザイン学領域の学生、小國雅治さん、町田陽伽さん、日影舘美樹さんにお越し頂きました。講演テーマは「全日本ろうあ連盟の記念碑」でした。小國さん、町田さん、日影舘さんの3人は全日本ろうあ連盟創立70周年記念碑のデザインコンペに応募し、採用され、6月に群馬県の伊香保温泉で行われた除幕式に参加されました。全日本ろうあ連盟の記念碑のデザインコンペに応募した経緯、応募に向けて検討したデザインコンセプトやデザインの詳細などについてお話し頂きました。

 おかげさまで教職員・学生合わせて27名の参加がありました。

 昨年の8月頃、先生からの紹介でデザインコンペへの応募を決めた3人は、会議を繰り返してたくさんのアイデアを出し合いました。20~30くらいのデザイン案を出し、検討を重ねて提出締切日にデザインが決定し、書類をまとめて提出したそうです。

 記念碑は3つのコンセプト「歴史」「現在」「未来」を元にデザインしました。「歴史」は先人の努力により現在があることを示しています。深い黒色の石をノミ切り仕上げすることで、積み重ねられた努力とその重みを表現し、歴史が現在と未来を支えている様子を表しました。「現在」は聴者との壁をなくし、理解を広めるために情報を取り入れて発信してゆくろう者の姿をイメージし、情報の取り入れ口である目と耳を暗喩した穴を持つ球体で表したそうです。「未来」は成長してゆく力強さや明るい将来を上へ向かう形で表したそうです。

 当初はデザインコンセプトに「聴覚障害」が含まれており、耳をイメージした形も検討していましたが、先生からのもっと抽象的にした方がいいというアドバイスにより、没にしたとのことです。大いに悩んだ結果、コンセプトから「聴覚障害」を省き、「現在」を取り入れました。

 ある程度形を決めたら、粘土で1/100くらいの立体モデルを作りました。似たような形をいくつか作ってバランスなどを最終調整していきました。その中から選んだ案を元にデッサンを行い、提出書類として提出するイラスト案を作成していきます。先生からアドバイスをもらい、提出書類を何度も書き直し、提出したとのことです。

 採用通知が来た後は、石碑制作を担当する石材店の方と話し合い、デザインを少し変更することになりました。当初は「現在」を表す球体の石に穴を開けるデザインになっていましたが、石材店からひびが入る可能性があるということで、安全面を考慮して穴を開けることは断念しました。

 6月初めに石材店を訪れ、ノミ入れ作業を行いました。ノミを金槌でたたいて穴を彫って模様を作っていきますが、小さな花火がばちばちと出てきたそうです。このように石碑が完成し、除幕式で披露目されました。

 最後に「除幕式で本学以外のろう者と会う機会を得て良い経験になった」「除幕式で様々な方から昔の暮らしについての話を伺うことができ、勉強になった」「多くの聴者が(石碑を見て)、聴覚障害に対する理解を深めてくれたら嬉しい。さらにろう者の生活が良くなることを祈っている」とメッセージを投げかけてくださいました。

 また、デザイン設計では様々なアイデアを出し合ったが、いざ実物を作るとなると、石材店の方との打ち合わせを通して安全面なども考慮しなければならないことなど勉強になったと話してくださいました。デザインコンセプトの構想においてろう者をテーマに話し合ったり、また除幕式で学外の様々な方とお会いする機会を得たりなど、とても良い経験になったようです。

 参加してくださった皆さま、ありがとうございました!!

※小國さん・町田さん・日影舘さんがデザインした全日本ろうあ連盟創立70周年記念碑は群馬県渋川市の伊香保温泉街の一角に設置されています。皆さまも伊香保温泉に行かれたときはぜひご覧になってください。

 住所:群馬県渋川市伊香保町伊香保136-7

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