6月16日(木)に第7回ろう者学ランチトークが行われました。今回はジャック・ソリオーさんにお越し頂きました。ソリオーさんはフランスで盲ろう学校の校長を務められるなど、長らく盲ろう教育に携わってこられた方です。今回は「フランス手話における盲ろう者の手話」というテーマでお話し頂きました。
おかげさまで、教員、学生、地域にお住まいの方々合わせて、60名の参加がありました。
まずはフランス手話の歴史についてお話し頂きました。アベ・ド・レペが手話・指文字を使用する最初の聾学校を設立し、ろう教育の原点となります。アメリカからギャローデットが渡ってきて、パリ聾学校の教員をスカウトして一緒にアメリカに戻り、手話を教え広めました。長い時を経て、現在で使われているアメリカ手話に変化していきました。ですから、アメリカ手話の起源はフランス手話といえます。
また、当時のパリの聾学校では、手話・指文字を使用するクラスと、富裕層の子どもに対する口話クラスにわかれており、富裕層の影響・支援もあって、1880年ミラノ会議でフランス及びヨーロッパにおける手話の使用が禁止されてしまいました。でも聾学校の教室外では使われていたと話します。1880~1970年、長い間手話の使用が禁じられていましたが、1970年くらいからろう者のデモによる運動などで手話を使う教育が再び認められるようになりました。
現在は聾学校だけではなく、一般学校の中にろう者だけが学ぶクラスも併置されているところもあり、そこでもフランス手話が使われているそうです。さらに何らかの障害も併せ持った重複障害の子どもたちが増えており、人工内耳を装着する子どもたちも増えています。このように教育現場の状況は常に変化していますと話してくださいました。
また、手話の概念についてもいくつかの例とともに説明して頂きました。ろう者の場合は、自身がいる実際の空間と手話の文法としての空間を重ねあわせて文を作る能力が高いと話します。
最後に、いくつかフランス手話をご紹介頂きました。当初、フランス手話入門はどうかと提案しましたが、手話の歴史であればということで依頼を受けて頂きました。手話はきこえる人ではなく、ろう者から教わるべきであり、遠慮したと説明してくださいました。
ろう学校教育の発祥地といわれるフランスでろう教育現場に携わってこられた方から直に話を伺う事ができ、貴重な機会だったのではないかと思います。
参加してくださった皆さま、ありがとうございました!!