平成29年度第2回ろう者学ランチトーク:クリストファー・アモモンポンさん(フィリピン)

2017/05/12掲載

 5月11日(木)に第2回目のろう者学ランチトークが行われました。今回は、ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業(http://www.normanet.ne.jp/~duskin/)の第18期生であるフィリピン出身のクリストファー・アモモンポンさん(以下、キットさん)にお越しいただき、「ラプラプとは何か?」というテーマで、お話しいただきました。

 おかげさまで、教員と学生、地域の方々を合わせて、22名の参加がありました。

 キットさんは、セブ島にあるラプラプ市で生まれました。セブ島は、フィリピン本島(マニラ)から飛行機で1時間のところにあります。日本のご飯が美味しくて、来日前より太ってしまった、特に寿司が好きだと流暢な日本手話で話す、日本が大好きなキットさんが、ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業に応募したのには、母国のろう者の生活を変えたいという熱い思いからでした。日本のろう者の生活、ろう者の教育について学んで、フィリピンの現状を少しでも良くしたいのだそうです。

 家族は、5人兄弟(姉、キットさん、弟、妹、妹)と両親の7人で、姉と末の妹とキットさんの3人は耳が聞こえません。家の中のコミュニケーション手段は手話ですが、フィリピンの手話ではなく、ASLに似たような独特なサインで交わしているそうです。キットさんは、インテグレートしていて、小学校、高校(フィリピンは中学校が無く、高校が6年間)では1対1でのコミュニケーションができても、それ以上の大人数になると会話についていけなくなり、人間関係に苦労したとのことです。大学に入って、経営学を専攻していましたが、きこえないことで色々な壁があり、苦しくなって中退したのだそうです。26歳の時に手話を本格的に覚えました。両親が経営するお店を手伝っていましたが、2014年より、ラプラプ市政府行政の中で仕事をしています。現在は、1年間休職中です。その他にも、ボランティアでラプラプ市ろう協会会長を務める傍ら、ラプラプ市障害者連盟役員、フィリピンろう者青年連盟役員としても活動しています。

 講演の中盤には、フィリピンの特にラプラプ市の歴史についてもお話しくださいました。今回のテーマであった「ラプラプとは何か?」それは、フィリピンの歴史上有名な人物の名前からとったものでした。セブ島を見つけたマゼラン一行が上陸を拒んだセブ島にスペインの軍隊を率いて上陸しようとしたところ、起きたのがマクタン島の戦い(1521年)で、ラプラプはその当時のセブ島の勇者として語り継がれています。その40年後、ラプラプの死により、マクタン島(のちのフィリピン)はスペインに占領されてしまったということでした。その後、ホセ・リサールという名の青年がフィリピンの歴史を調べて文献に残したことを機に、1898年に1年間独立したが、第1次世界大戦でアメリカ、第2次世界大戦で日本による植民地支配を経て、1946年に独立したという歴史的流れを詳しく分かりやすくお話ししてくださいました。

 最後に、フィリピン手話の紹介にも触れ、非常に充実したランチタイムとなりました。

 講演の中で、セブ島の素敵なムービーの紹介もあり、改めてセブ島に行きたくなったのではないでしょうか。名物のハロハロ(パフェのようなデザート)の紹介もあり、美味しそうでした。ハロハロは混ぜて食べるのがフィリピンの文化だそうです。ならば、日本のパフェも混ぜて食べるのかな…?と気になりましたが、日本のはそのまま食べるとのことです。

キットさんの活躍をこれからも応援しています!!
参加してくださった皆さん、ありがとうございました!!

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