5月9日(木)に第2回ろう者学ランチトークが行われました。(第1回がお休みになったため、実質第1回でした)今回はダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業の第20期生である、ネパール出身のスニタ・タパさん(以下スニタさん)にお越しいただき、ネパールの文化やろう者の現状についてお話しいただきました。
日本手話言語の〈こんにちは〉とネパール手話言語の〈ナマステ〉からスニタさんのランチトークが始まりました。
まずは自国の紹介をしてくださいました。
ネパールには75もの県があるらしいです。日本の47都道府県も覚えるのが大変なのに、ネパールの方々は相当大変ですね。
次にスニタさんのご家族についてお話しいただきました。ネパールは一夫多妻制があるそうで、スニタさんのお父さんには奥さんが2人いて、10人家族だとおっしゃっていました。スニタさんは中途失聴し、手話言語だけで教育を行うポカラの聾学校に入学したそうです。そこで手話言語を習得したそうです。
家族は皆きこえる人で皆口話で話し、手話ができるのは弟さんだけだそうです。大家族だといろんな人がいて、楽しそうですね。
次に、ネパールの文化についてお話しいただきました。まずスニタさんが日本に来て一番驚いたことは何か、クイズがありました。「電車」や「結婚」など、様々な答えが出ましたが、正解は「お風呂」でした。ネパールでは、銭湯のように知らない人たちをはじめ家族同士でさえも一緒に入る習慣がなく、日本でのお風呂に戸惑ったそうです。確かにそれは戸惑いますよね!
でも今は慣れて日本のお風呂も楽しいとおっしゃっていました。社会への順応は人間に与えられた恐ろしくも面白い機能であり、グローバル化社会において大切な機能だと改めて感じました。
最後に、ネパールのろう者の現状についてのお話もしていただきました。
ネパールではろう者と聞こえる人の間の扱いの差が大きく、さらに女性と男性の立場の差も大きいそうです。また、ろう者で通常の大学に行ける人はとても少なく、行っても情報保障などが全くないそうです。さらに、ネパールの高齢のろう者は手話言語による教育が広まる前に子どもの時代を過ごしたため、手話言語を習得していません。そのため若いろう者よりも生活が難しいそうです。スニタさんはこう言った差別・困難を解消すべく、日本で様々なことを学んで故郷に帰り、シンジャー州ろう協会を起点に、ネパールのろう者の生活がより良くなるよう、活動していきたいようです。シンジャー州のろう協会をはじめ、ネパールの地方のろう協会は小さく、まだ協会としての目標もないため、協会員の意識を変えるところから始める必要があるそうです。
スニタさんの今後のご活躍を遠方の地から応援しております。
今回は教員と学生、地域の方々を合わせて21名の参加がありました。お忙しい中足を運んでくださり、ありがとうございました!
次回のろう者学ランチトークの予定は未定ですが、6月10日(月)には川端伸哉(かえで)さんにお越しいただき、ろう者学ランチトーク を開催する予定です。
ぜひお越しください。