2019年度第7回ろう者学ランチトーク:藤木和子先生

2019/11/19掲載

 11月14日に第7回ろう者学ランチトークが開催されました。

 今回は「聞こえないきょうだいをもつSODAの会」を立ち上げられた、弁護士の藤木和子先生にお越しいただき、「聞こえない弟と一緒に育ったSODAの弁護士として」というテーマでお話しいただきました。

 SODA(Sibling Of Deaf)とは、聞こえない兄弟がいる「聞こえる人」という意味だそうです。藤木先生は去年、きこえない兄弟を持つSODAの会をろうのご友人とともに立ち上げられ、その代表をされています。この会は、「聞こえる」「聞こえない」ではなく、平等にするため、お互いに遠慮なく話し、「一緒に解決」を考えるために活動されているそうです。活動の最大の特徴としては、大人になったSODAとDEAFから子どものSODAとDEAFに伝えていく、ということだそうです。周りにSODAやDEAFはなかなかいないので、SODAやDEAFの子どもは人にわかってもらいづらい悩みを抱えやすいと思われます。そのため、似た境遇の先人たちの経験や情報を得る機会を作ることは大切なのだろうと感じました。

 SODAの他にも、「聞こえる家族」の名称はたくさんあるそうです。例えば、CODA(Child Of Deaf Adult(s)、親がろう者)、GODA(Grandchild Of Deaf Adult(s))などです。CODAは20年前ほどから日本にも広まりはじめ、SODAも現在広まりつつあります。こういった名前をつけることによって、それぞれの立場について考える、話し合うきっかけになりますし、アイデンティティにも関わってきますよね。

 藤木先生は「お姉ちゃんだから」や「聞こえるから」「聞こえないから」と言われるのが嫌だそうです。確かにみんな選んで「お姉ちゃん」になったわけでも「聞こえる」「聞こえない」になったわけでもないですもんね。一方的な働きかけを強要するのではなく、「お互いに助け合うこと」が大切だとおっしゃっていました。

 憲法13条では「個人の尊重」が唱えられています。すなわち、「誰もが大切」ということです。「生まれてきてよかった」が目標。現在はユニバーサルサービスとして電話リレーサービスなどが始まろうとしています。厚生労働省は専門分野における手話通訳のニーズ調査も行っているそうです。障害のある人もそのきょうだいも生きていて本当によかった」と言える社会を創ろう」というのが全国きょうだいの会の理念だそうですが、現在やっとその考え方も、それを達成するための科学技術も発達してきているのですね。

 感想の時間では、本学のきこえない教員が聞こえるお姉さんの子供の頃の気持ちを大人になってから言われたとおっしゃっていました。藤木先生も大人になって手話ができるようになってから聞こえない弟さんに「話しやすくなった」と言われたとおっしゃっていました。お互いに気を使うことも大切ですが、自分の思っていることを思った時に伝え合うということも大切だと感じました。

 今回は学生、教職員、地域の方を合わせて13名の参加がありました!お越しいただき、ありがとうございました!

 今回のお話が、きこえない人の周りのきこえる人について考えてみたり、障害の有無に関係なく「お互いに助け合うこと」「お互いに話し合って解決していくこと」を意識するきっかけになったのではないでしょうか。藤木先生、この度は貴重なお話をどうもありがとうございました!

ランチトークの様子
ランチトークの様子

過去のニュース一覧へ

トップページへ戻る