12月17日(火)に第9回ろう者学ランチトークが開催されました。
今回の講師は筑波技術大学の卒業生で現在は接客業をしている佐藤涼太郎様にお越しいただき、「ろう者は接客業不向きってウソ?ホント?」というテーマでお話しいただきました。
佐藤さんは大学に入ってから接客業のアルバイトを始めたそうです。その理由はずっと聾学校育ちだったため、きこえる人との関わりを持ちたいと思ったことからだそうです。
さらに、異なる言語を使用する者同士からうみだされるコミュニケーションの試行錯誤、ひとつひとつの言語の魅力を探り合い、新しいコミュニケーションのカタチを提案している「IGENGO Lab.(異言語ラボ)」
声に頼らない会話、コミュニケーションを楽しむ「ろうちょ〜会」
ろう者が店員となり、手話や筆談、ジェスチャーで楽しむ「サイレントバー」
など、様々な企画にも携わってこられたそうです。
佐藤さんは接客業で大切なことは相手を観察すること、察して応えること、相手の動きや表情を見て求めているものを察しておもてなしすることだとおっしゃっていました。そしてろう者は普段から手話というコミュニケーションにおいて表情をよく読み取っているので、「相手のことをよく見て察すること」は普段からしていることと言えます。そのため、むしろ接客業はろう者向きなのではないかとおっしゃっていました。
また、佐藤さんは「ものを売るだけの時代は終わりつつある」と言います。接客業は、「モノ」+「人の接客」で新たな価値を見出さなくてはいけない時代になってきているそうです。
そこで、ろう者だからこそできることがあるはずだとおっしゃっていました。
以下、出された質問をまとめます。
Q:バイト先で周りにいるきこえる人に理解してもらうためにはどうすればいいでしょうか。
A:まず自分の聞こえについて説明することが大切です。その上で自分の説明書のようなものを作ってみんなの見える場所に貼っておくなどの工夫ができます。また、まず自分がしてほしいコミュニケーション方法を自分がするということが大切です。そうすることによって、聞こえる人も理解し、真似をしてくれるようになります。
Q:接客業では混んでいる時など、工夫をしても、難しい場面がありますが、どうしていますか?
A:どんなに大変な時でも「ありがとう」の手話だけは必ずやるようにしています。そうすることによってろう者がいることをわかってもらえたり、お客さんの印象に残ってもらえたりするからです。
Q:きこえる人と関わる勇気がほしいです‥。
A:きこえる人と関わる機会はなにもバイトだけではありません。イベントなどに参加したり、手話サークルに行ったりするのもいいでしょう。バイトは責任が生じますが、交流に責任は生じないので、気軽にきこえる人と関わることができます。
Q:きこえる人に対して手話をする時どのような工夫をしていますか?
A:相手がどこを見ているかに注意し、対応を変えます。例えば、相手が口だけを見ている時は身振りを入れたりして手話をわかりやすくします。
今回は学生、教職員、地域の方を合わせて32名の参加がありました!お越しいただき、ありがとうございました!
今回の講演で、接客とは何か、ろう者がうむ付加価値はなんなのか、考えるきっかけになったのではないでしょうか。佐藤さん、この度は貴重なお話、どうもありがとうございました!