12月23日(月)に第10回ろう者学ランチトークが行われました。
今回の講師は米国ロチェスター工科大学インタナショナル&グローバルスタディ専攻4年生、筑波技術大学で11月12日から12月20日までのインターンシップを終えた、ルイス・アップルゲードさんに、「アメリカ文化とデフジョーク」というテーマでお話しいただきました。
まず最初に自己紹介をしてくださいました。ルイスさんは中国に生まれ、養子として引き取られてアメリカに移り住んだそうです。そして聾学校、一般校ともに経験し、現在はロチェスター工科大学に在籍しています。ロチェスター工科大学では、おおよそ1100人のろう・難聴学生が在学しており、支援方法は主に手話通訳、PC筆記(文字通訳)、ノートテイクの3種類があるそうです。そして、手話通訳とPC筆記は大学雇用のスタッフが担当し、ノートテイクは学生による有償ボランティアで行われているとのことです。
そして、次にアメリカ文化について紹介してくださいました。アメリカといえば、「大きい」というイメージがありますよね。実際、アメリカ人は大きいものが好きで、食べ物などもたくさん食べるために、太ってしまう人も多いそうです。しかし、最近は傾向が変わってきて、ベジタリアンやグルテンフリーなど、健康志向の人も増えてきているそうです。アメリカといえば、人種のるつぼと言われるほどたくさんの人種がいますよね。それに伴い、多くの言語が使われているそうです。祝日についても話していただきました。アメリカは世界で共通する祝日に加え、国特有の祝日や、宗教的な祝日があるそうです。宗教的な祝日としては、アイルランドが発祥の「セントパトリックデー」があるそうです。これは何かしら緑色のものを身につけていないと腕をつねられてしまう祝日だそうです。そして、国特有の祝日としては、大きな戦争が終わった日や、歴史上の偉大な人の記念日などがあるそうです。そして特に日本にない特徴的なものとして「サンクスギビングデー(感謝祭)」「ブラックフライデー」が挙げられていました。
「サンクスギビングデー(感謝祭)」は11月末の木曜日にあるそうで、現在は家庭によって考え方がまちまちだそうですが、もともとは、ヨーロッパからの大陸に移り住んだ人々がネイティブアメリカン(アメリカの原住民)に感謝する日として作られていたそうです。その日は七面鳥やじゃがいも、パイなどが食されるそうです。
「ブラックフライデー」は、11月末の金曜日にあるそうで、大規模な安売りが行われるそうです。サンクスギビングデー(感謝祭)が終わった深夜からお店に並んで、開店と同時にわっと押し寄せて買い物をするそうです。ルイスさんも2年前参加したそうですが、押し寄せたと同時に押されて転んだり、女性同士が服を引っ張り合うのを見たりと、大変な様子だったそうです。
最後にデフジョークについて紹介してくださいました。
デフジョークとは、顔、身振り、手話を使い、ろう者の文化が反映されたジョークで、昔から伝わる伝統的なものと、現代に合わせて作られたものの2種類があるそうです。
まずは伝統的なものを紹介してくださいました。
ある日、耳がきこえない設定のキングコングがビーチで一人の若い女性を捕まえました。アメリカ手話言語で話しかけ、あまりに美しい女性にプロボーズをします。「結婚」という手話表現(自分自身で両手を握る形)をします。手のひらに乗せられていた女性は…。という内容のジョークです。
続いて、現代的なものを紹介してくださいました。女装をした男性がアメリカ手話言語で語りかける動画で、「もしも映画の登場人物がろう者だったら」というテーマの3本立てでお話ししていました。1つ目は「タイタニック」です。ローズが海に飛び込もうとしているシーン。ジャックがローズを止めるべく必死に手話で語りかけます。それにローズが手話で応えた途端に手すりから手を離してしまい海に落ちてしまう…。というジョークでした。
2つ目は「シンデレラ」です。シンデレラは鐘の音を聞いて、急いで城を出ますが、きこえないシンデレラは鐘の音に気づかずに踊り続け、みんなの前で魔法が溶けてしまい…。というジョークです。
3つ目は「ハリーポッター」です。声を使って魔法を唱えますが、ろう者は手話を使って唱えます。杖の持ち方に困り、結局口にくわえて魔法を使います…。というジョークです。
うーん、どれもとても面白かったのですが、日本語に起こすと面白さが伝わらないですね。やはりデフジョークは手話言語で語るから面白いのだと思いました。
今回は学生、教職員、地域の方を合わせて20名の参加がありました!お越しいただき、ありがとうございました!
今回のお話で、アメリカ文化とデフジョークについて関心を持った方も多いのではないでしょうか?ルイスさん、この度は貴重なお話をどうもありがとうございました!