自立活動「手話は世界共通だろうか? 韓国手話から考えてみる」学習指導案

1 対象

中・高等部

2 指導の形態

DVDを視聴できる教室

3 指導のねらい

1)海外の手話や聴覚障害者の生活に関心を持ち、国際社会への関心を高める。

2)韓国と日本の手話表現が似ている理由を考察し、過去に日本政府の植民地政策という歴史的事実が影響している可能性について理解する。

3)日本や韓国でも、手話表現は古い手話から新しい手話へと、時と共に変化していることを理解する。

4 指導にあたって

・「韓国手話と日本手話は全く一緒である」と勘違いしないように留意する。そのために、手話表現で微妙に違っている部分に着目させると良い。

5 本時の展開

学習活動 指導・支援内容
(留意事項及び配慮事項)
評価の観点

外国の手話について知っていることを思い出しながら、手話は世界共通であるのか考えてみる。 生徒たちに「手話は世界共通であるか」と発問する。また、「隣国である韓国の手話はどうなのだろうか」と問い、本時の学習への関心を持たせる。 自国と外国の手話を比較しようとしているか。(関心)
韓国と日本の手話表現を見比べ、両国の手話表現が似ている理由を考える。
(ワークシート記入)
*映像視聴 検証・韓国手話
「似ている」[00:00~02:25]
      [04:20~05:55]
日本と韓国の手話表現を比較してどう感じたか問いかける。
両国の手話表現を比較し、似ている理由を考えたり、自分の考えを発表したりすることができたか。(考察・発表)
記入したことを発表し、両国の手話表現が似ている理由を話し合う。 生徒の発言内容を板書し、様々な視点やヒントが存在していることが分かるように整理する。


韓国と日本の手話表現が似ている理由やその歴史背景を理解する。 *映像視聴 検証・韓国手話
「似ている背景」[06:00~08:45]
1910年の日本政府による植民地政策が影響している可能性が高いことの説明をする。
韓国の手話が日本と似ていると思われる理由や歴史的背景を理解できたか。(理解)
韓国と日本の手話表現は現在もほとんど似ているかを考え、自分の考えを発表する。
(ワークシートに記入)
考察につまずいている生徒がいる場合、戦後はハングル語を使用する生活に戻っていることや植民地にいた日本軍や日本人の動きに着目させ、生徒の考察を促す。


韓国手話の現状や朝鮮戦争でかつての朝鮮手話も分断され、北朝鮮と韓国の手話表現が異なってしまったという痛ましい歴史が存在していることを知る。 *映像視聴 検証・韓国手話
「今の韓国手話は」[08:50~15:00]
現在、韓国手話の表現は変遷してきていることや朝鮮戦争後は北朝鮮と韓国に分断されるように、手話も分裂されたことを嘆いているろう高齢者の心情を説明し、同じ手話で通じ合える大切さに気付かせる。


手話は世界共通ではないが、各国では歴史の変遷と同時に手話も変遷していることを理解する。 日本でも世代別に使う手話が異なっている例を提示し、手話は歴史とともに変遷していることを説明する。
例:お手洗い(昔)→ WC(現在)
手話は歴史とともに変遷していることを理解できたか。(理解)

6 参考・引用文献

使用DVD  ・ろうを生きる難聴を生きる NHK Eテレ 2010年10月22日放映
       「検証・韓国手話 ~似ている?似ていない?その実像に迫る~」
       *聴覚障害者情報提供施設などのライブラリーで借りられます。

指導参考資料 ・基礎からの手話学 神田和幸・藤野信行著 福村出版社

作成:尾田 将史(鳥取県立鳥取聾学校),2017年
編集:ろう者学教育コンテンツ開発取組担当

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