自立活動「聴覚障害者の働き方を考えてみよう」学習指導案

1 対象

中・高等部

2 指導の形態

DVDを視聴できる教室

3 指導のねらい

1)聴覚障害者が聞こえる世界で働く厳しさを知るとともに、聴覚障害者同士のみの職場の強みを活かした働き方があることも理解し、自分に合う働き方や将来の就労先などを考える機会とする。

2)接客方法を工夫することで、聞こえなくても接客が出来ることに気付き、他の仕事でも同様に自らコミュニケーションをはじめ、日頃から工夫しようとする姿勢を持つことの大切さを理解する。

3)音声コミュニケーションに拘らず、指差し・身振りや筆談なども立派なコミュニケーション手段であることを理解し、多様なコミュニケーション手段を活用しようとする姿勢を育む。

4 指導にあたって

・「聞こえないからこの仕事は難しい」と思い込ませずに、聞こえなくても出来ることと聞こえないために出来ないことを冷静に整理させながら、学習を進めると良い。

5 本時の展開

学習活動 指導・支援内容
(留意事項及び配慮事項)
評価の観点

自身の経験を振り返って、聴覚障害者の就労状況などについて考えたことを発表する。 「聴覚障害者だけの職場はあると思う?」と発問し、本時の学習への関心を持たせる。
*接客業に就く聴覚障害者が少ないことやその理由に気付かせる。
自身の経験を振り返って、就労状況を考えようとしていたか。(関心)

聴覚障害者だけの職場があることや店員が前の職場ではどうだったのかを知る。
  • 柳さんが起業した理由を考察したり、発表し合ったりする。
(ワークシート記入)
柳さんが起業するまでの過程やその背景を理解する。
  • 聴覚障害者だけの店(職場)でも、接客できる理由を考えて発表する。
(ワークシート記入)
*映像視聴
「手話カフェの様子」[00:00~02:40]
「なぜ、聴覚障害者だけの職場(店)を作ったのだろうか?」と発問し、より関心を引き付ける。
*聞こえない人が聞こえる世界で働く時の問題点に着目させる。
*映像視聴
「起業までの流れ」[05:30~10:50]
  • 今回の紹介内容の他にも例があることを紹介し、聴覚障害があってもできるという自信を持たせる。
(例)
 *デフスタバ(マレーシア)
 *ふさお(東京都)
 *サーフィン店(静岡県)
 *理容・表具など(昔から)
柳さんがどんな気持ちで起業しようとしたかを考えることができたか。
(考察)
 
聴覚障害がある店員でも、接客できる理由を考えたり、発表したりすることができたか。(考察・発表)


聴覚障害者だけの店(職場)でも、接客できたり繁盛したりしている理由や周囲の評価を知る。 *映像視聴
「工夫している点」[11:30~13:50]
  • 日常生活の中で聞こえる人と関わる時に気を付けていることは何かと発問し、生徒自身のコミュニケーション場面を振り返らせる。
自身の経験を振り返ろうとしているか。(態度)
柳さんが起業したかった理由を受け止め、「自ら工夫することの大切さ」を理解することが出来る。 「柳さんの生き方についてどう思ったか」と発問し、本時の学習内容を理解できているか確認する。
【生徒の発言予想】
  • 常に工夫しようとする意識が大事である。
  • 聴覚障害者同士だからできることもある。など
聴覚障害者同士でも出来ることや工夫の大切さを理解することができたか。(理解)

6 参考・引用文献

使用DVD ・ろうを生きる難聴を生きる NHK Eテレ 2015年3月1日・8日放映
      「共に生きやすい社会を ~言葉の壁を越える~」(本時で使用)
      「共に生きやすい社会を ~理想の職場を創る~」(続きのDVD)

指導参考資料
・今村彩子「珈琲とエンピツ」短縮版DVD
 公式サイト:
 http://studioaya-movie.com/coffee-to-enpitsu/aboutmovie/index.html
・聴覚障害者が運営するスターバックス(マレーシア・クアラルンプール):
 https://news.starbucks.com/news/deaf-partners-build-careers-at-starbucks
 https://matome.naver.jp/odai/2147166307290973601
・ふさお(東京都新宿区):http://fusao2000.wixsite.com/fusao
・サーフショップ&ハワイアン雑貨店(静岡県湖西市):
 http://surfhouseota.life.coocan.jp/
 *「珈琲とエンピツ」出演

作成:尾田 将史(鳥取県立鳥取聾学校),2017年
編集:ろう者学教育コンテンツ開発取組担当

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