自立活動「日本で最初に聾教育を開始した人物は誰?」学習指導案

1 対象

中・高等部

2 指導の形態

DVDを視聴できる教室

3 指導のねらい

1)日本で最初に始まった盲聾教育の歴史を学ぶとともに自分が通う聾学校の歴史と比較し、我が国のろう教育が義務教育化されるまでの歴史過程を理解する。

2)現在使われている指文字が誕生する前から、古河太四郎が日本最初の指文字を発案していたことを知り、実際に表現してみることを通して、現在の指文字の利便さに気付く。

3)グラハムベルの古河太四郎に対する評価から、日本と米国の価値観を比較し、当時の日本の障害者観を考察したり、古河太四郎の業績を理解したりする。

4 指導にあたって

・事前に自分が通う聾学校の歴史を再確認させておく。また、当時のろう者の教育環境や指文字の誕生背景などをインターネットや文献などを使って調べさせても良い。

5 本時の展開(前半)

学習活動 指導・支援内容
(留意事項及び配慮事項)
評価の観点

事前にワークシートに記入した自分の学校の歴史や創設者、発問に対しての予想を発表する。 「自分の学校の創設年、日本で最初にできたろう学校の場所や創設した人は知っている?」と発問し、本時の学習への関心を持たせる。 調べたことや自分の考えを発表できているか。(発表)


明治11年に古河太四郎が日本最初の盲聾教育を京都で開始したことをDVDや教師の説明から理解する。
(問題文の正答を記入)
  • 日本最初の学校はどこ?
  • 創設した人は誰か?
  • ろう教育を始めた理由?
【映像】*教育にささげた人生
「生い立ち」[01:40~05:40]
自分の学校の歴史背景と比較し、ろう教育が開始された理由の多くが「聞こえない子どもにも教育が必要であること、私立だった」などの共通している点に着目させる。
(例)
 京都→ 明治11(1878)年
 鳥取→ 明治43(1910)年
DVDの中から問題文の正答を読み取り、日本最初の聾教育の様子などを理解することが出来たか。(理解)


古河太四郎が試行錯誤する中で生み出した指導方法、学校経営の失敗から責任を取って退職していたことを知る。 【映像】*教育にささげた人生
「教育方法と学校経営の苦労」
[05:40~09:25][10:35~13:50]
  • 日本最初の指文字(2語程度)を実際に表現し、現在の指文字の方が使いやすいことを実感したり、指文字にも変遷があったことに気付いたりする。
    • 「最初の指文字は私たちが使っている指文字と同じであるか」と発問し、生徒が指文字の変遷に気付いているかを確認する。
    *当初の指文字は表現が円滑ではなかたため、今の指文字のように改善されたことを補足説明する。
    関心を持って当初の指文字表現に取り組み、指文字の変遷に気付くことができるか。(関心・考察)


    • グラハムベルの発言から、周囲の古河太四郎に対する当時の評価や日本の障害者観はどうであったかを考察し、発表する。
    (ワークシート記入)
    • 「このような人をなぜ世の中は放っておくのか我が米国でなら相当の待遇を与えるものを」の文章が持つ意味に着目させ、当時の日本の障害者観を考察できるように、生徒の発言を整理した板書をする。
    当時の日本の障害者観を考察したり発表したりすることができたか。(考察・発表)


    古河太四郎は教育に熱心でありながら、経営の失敗を理由に一度退いたが、ベルの発言により、再起した。その後、義務教育化へ尽力したことや人情に厚い人柄であったことを理解する。 「古河太四郎はどのような生き方であったか」と発問し、彼の苦労や業績を理解できているか確認する。
    【生徒の発言】(予想)
    • 思いやりのある人だった。
    • ベルが来校しなかったら再起できなかった。
    • 今のろう学校が義務教育になったのは彼のお陰だと思う。
    古河太四郎の生き方や人柄を理解することができたか
    (理解)

    *展開②のところで映像視聴後に「指文字の変遷」の資料を配布する。

    6 参考・引用文献

    使用DVD  ・ろうを生きる難聴を生きる NHK Eテレ 2015年5月9日放映
           「教育にささげた人生 古河太四郎 生誕170年」
           *聴覚障害者情報提供施設などのライブラリーで借りられます。

    指導参考資料 ・神田和幸著 「指文字の研究」

    作成:尾田 将史(鳥取県立鳥取聾学校),2017年
    編集:ろう者学教育コンテンツ開発取組担当

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