自立活動「自分に合った情報保障を知ろう」学習指導略案

1 対象

高等部(大学進学を視野に入れている生徒)

2 指導の形態

通常教室(授業の最中に机を4つの島にするため机は移動できると良い、もしくは、活動の際に教室を複数使用することも可能)

3 指導の目的

・大学進学後に情報保障を申し出る際に自分に合ったものを依頼できるよう、自分に合うものの性質を知る。

4 指導にあたって

・授業内で使用するワークシートは、パワーポイント資料の評価項目の部分を印刷する。

・手話通訳資格を持つ教員、要約筆記資格を持つ教員がいれば協力してもらえるよう事前に依頼する。

・情報保障の見本として使用する題材は事前に読み原稿やスクリプトを用意しておく。

・機材の準備:PC4台、プロジェクター1台以上、タブレット端末2台以上

5 本時の展開


学習活動 指導・支援内容
(留意事項及び配慮事項)
評価の観点


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・「情報保障」というものについて知る。 ・情報保障という言葉について知っている学生がいれば、説明してもらう。(手話通訳やPCテイク等の手段が挙がってくることが想定される)
・情報保障の定義として「その場にいるすべての人が、同時に同量・同質の情報を共有することによって、その場の活動に参加できるよう保障する取り組み。」を伝え、これが叶う自分に合う方法を探すよう伝える。
・情報保障の定義を理解できるよう聞いている【知識技能】


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・活動の説明をする。 ・手話通訳、ノートテイク、PCテイク、UDトークの説明をする。
・手話通訳:話者の音声を手話に、または、話者の手話を音声に通訳する。
・ノートテイク:話者の音声を聞いて、その情報を手書きで書いていく。
・PCテイク:話者の音声を聞いて、その情報をPCで文字化する。
・UDトーク:話者の音声をマイクで拾い、それを文字化するアプリを使用する。
・4つの方法のうちどれが自分に合うのかを考えるよう促す(ワークシート配付:パワーポイント資料スライド9)。このとき考えるポイントとして
・分かりにくい点は無いか
・タイムラグや情報量、情報の質の漏れは無いか
・質問をしたいときにできる状況か
・メモを取ることができるか
の4つを提示し、それ以外にも気付いたことを書き留めるよう伝える。また、この項目の中でメモ以外の項目は定義に沿っているためそのつながりも説明する。

・4つの情報保障の方法を各ブースに分けて同時進行で進める。このブースは1つの教室では収まりきらなければ、教室を複数使用することも可能。

・情報保障の中で「これは分からないから要らない」という生徒がいてもとにかく全部体験するよう促す。その上でなぜその情報保障が分からないのかを考えるよう説明する。

・ブースの回り方は教員が指定し、混雑が起こらないよう配慮する。

・各ブースの内容が被らないよう内容を用意する。
・手話通訳での情報保障の体験 ・学校教員の中で手話通訳に関する資格を持っている教員がいる場合にはその教員に手話通訳を依頼し、いない場合には手話通訳付きの講義動画を流す。

・見終わった生徒に内容のスクリプトを渡し、内容がどこまで理解できているかを確認する。
・気付いたことをワークシートに書き込んでいる【主体的】
・ノートテイクでの情報保障の体験 ・教員がノートテイクを行い、それを見てもらう形式で実施する。
・ノートテイクの体験ではプロジェクターを使用する。
・見終わった生徒に内容のスクリプトを渡し、内容がどこまで理解できているかを確認する。
・PCテイクでの情報保障の体験 ・教員の中で要約筆記者やPCテイクができる教員がいる場合にはその教員に依頼し、いない場合はPCテイクの動画を流す。

・見終わった生徒に内容のスクリプトを渡し、内容がどこまで理解できているかを確認する。
・UDトーク(修正有・修正無)での情報保障の体験 ・学校の端末にUDトークをダウンロードし、使用する。修正には教員が入る。

・無修正版と修正版を見比べるよう促す。

・見終わった生徒に内容のスクリプトを渡し、内容がどこまで理解できているかを確認する。



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・自分に合った、合わない情報保障の方法を検討し、発表する。 ・自分にとって分かりやすい方法から分かりにくいものまで順位をつけ、その理由を発表するよう促す。

・この時理由の部分で「文字が小さい」や「声が小さい」等が出てきた場合には、その部分は交渉することで変更してもらえることがあるというように、今回の方法がすべてではないことを伝える。
・分かったことを整理して、発表している【思判表】
・現在の大学の情報保障の状況を知り、もし自分が欲しい情報保障が無い場合どうするか考える。 ・大学の情報保障の実態を紹介する。
 ノートテイク>PCテイク>音声認識>>手話通訳

・入りたい大学に希望の情報保障が無かった場合、諦めるのではなく、理由を説明してその方法を依頼するよう伝える。

6 参考文献またはWebサイト

〈参考になる動画〉
 手話通訳
 ・令和2年度近畿大学入学式【手話通訳付き】
  https://youtu.be/mobPCLkKPTU
 PCテイク
 ・要約筆記連携入力サンプル
  https://youtu.be/A_Jb792LdAg

〈引用〉
 独立行政法人日本学生支援機構 令和2年度(2020年度)障害のある学生の修学支援に関する実態調査報告書
  https://onl.la/RkkkuuG

作成:江原 汐音(2021年)
編集:ろう者学教育コンテンツ開発取組担当

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